石田歯科
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★唾液分泌の日内変動

2023年9月22日

唾液には、刺激が無くても自然に流れ出る安静時唾液と、味覚や咀嚼などの刺激により多量に分泌される刺激時唾液があり、1日の合計分泌量は500~1500mlと報告されています。

 

唾液が無くても自然に分泌される安静時唾液は、1分間あたり約0.3mlと分泌量は少ないのですが、1日の中で長時間分泌されているため、う蝕予防に重要な役割を果たしています。分泌量は、薬剤や全身疾患以外にも体内の水分量、環境の明暗、体位、概日リズムなどの影響を受けます。

安静時唾液の分泌量を、7時、11時、14時、17時、22時と時間を決めて数日間図り続けたところ(食事の際にはその前に計測)、1日の中では夕v方に最大、起床時に最小と一定のリズムを示すことが分かりました。夜から朝にかけて唾液分泌量は低下し、就寝時には著明に少なくなるため、唾液の作用が弱まり最もう蝕になりやすいと考えられます。

そのため、カリエスコントロールには、夜、歯を磨いた後に飲食を控えることが重要です。

★唾液が減ると、なぜう蝕になるの?

2023年9月20日

唾液の量が減少すると、なぜう蝕が進行しやすくなるのでしょうか?

健康の成人を被験者にして、スクロース溶液で30秒間、口をゆすいだ後に、唾液中のスクロース濃度とバイオフィルム中のpHを計測した研究があります。

 

唾液分泌が少ない人は多い人に比べ、スクロース溶液で口をゆすいでから10分後に唾液中のスクロース濃度が10倍も高く、濃度が低くなるまでに時間がかかりました。バイオフィルム中のpHは下がり方が大きいうえに回復が遅く、30分後でも臨界pHの5.5までしか戻りませんでした。

唾液量が少ないと、

緩衝作用→バイオフィルム中のpHが低い状態が続く

浄化作用の低下→唾液中のスクロース溶液の濃度が高い状態が続くことにより、脱灰が再石灰化を上回り、う蝕が進行しやすくなります。

 

★ 唾液の働き

2023年9月19日

唾液はう蝕に対する最大の防御因子で、分泌が減少すると、う蝕や酸蝕が非常に速く進行します。

そのため、唾液が減少している方はう蝕リスクが極度に高いと評価します。

ドライマウス(口腔乾燥症)の有病率は年齢とともに増加し、65歳以上では30%以上とも推定されています。

唾液のう蝕予防における作用はいくつもありますが、その中の主なものを3つ挙げます。

 

➀イオン貯蔵作用

唾液は歯のミネラル分(リン酸塩やカルシウム)が豊富に貯えられているまえ、再石灰化を促します。

 

②緩衝作用

酸を中和することにより、唾液やバイオフィルムのpHを7(中性)付近まで戻します。(pH6~7.5ではリン酸塩、pH<6で重炭酸塩が主に働きます)それにより、脱灰の時間を短縮します。

 

③浄化作用

飲食物や細菌を口腔内から洗い流します。

★ 酸蝕症の患者さんへの指導事項

2023年9月15日

歯を溶かす酸には、細菌が糖から作り出す酸と、食べ物や飲み物に含まれる酸があります。細菌が作る酸より強い酸性を示す食べ物は意外と多く、日常的に摂っていると歯が溶けていくので注意が必要です。また、酸性の飲食物を頻繁に摂ると、糖を摂取した際に細菌から強い酸が出やすくなります。歯を守るには、原因の改善が最重要です。日常生活の中で、以下のことに気を付けてください。

 

➀印書について

・食事以外で酸性の飲食物を日常的に摂取するのは控えましょう。(成分表示に酸味料、柑橘系果汁、●●酸、クエン酸などと記載されているのものに注意)

・酸性の飲料を飲む際には、歯に当てないようにストローを使いましょう。

・水、コーヒー、牛乳、炭酸水、お茶(酸性のハーブティーを除く)は、砂糖が入っていなければ歯が溶けることはありません。

 

②歯磨きについて

酸性のものを飲食する直前に歯磨きをしないようにしましょう。(歯を酸蝕から保護するタンパク質の膜が取れてしまうため)

・酸性の者を飲食した直後の歯磨きも避けましょう(より歯が削れやすい)

・やわらかい歯ブラシと研磨力の低い高濃度フッ化物配合歯磨剤を使いましょう。フッ化物を含まない酸性の歯磨剤や洗口剤は避けましょう)

 

③酸性のものを飲食した後に行うこと

・重曹溶液やフッ化物配合洗口剤で洗口しましょう。あるいは、チーズ、無糖ヨーグルト、牛乳など乳製品を摂ると良いでしょう

・酸の含まれていないノンシュガーのガムやあめで、唾液の流れを刺激しましょう(歯の状態によっては、ガムを噛むと歯が削れることもあります。)

・どれも難しい場合には、水で口をゆすいでください。

 

④その他

・定期的に歯科医院で高濃度フッ化物の塗布を受けてください。

・原因によっては医療機関で適切な治療を受けましょう。(胃腸科、心療内科など)

 

 

★ 複合う蝕

2023年9月13日

スポーツドリンクやフルーツジュースなど、酸と糖の両方が含まれる飲食物をたびたび摂取すると、酸蝕症だけでなくう蝕のリスクも高まります。

 

酸と糖の両方が関わる病態を複合う蝕と呼び、より注意が必要と考えています。複合う蝕の一番の特徴は、プラークの付着が少ない割に進行が速いということです。歯質の切削時には、X線像から想定されるよりも深くまでう蝕が進んでいることが多いと感じます。酸の影響を強く受けるので、通常のう蝕とは異なる部位にも見られます。

 

う蝕の進行が速い理由は、2つ考えられます。

1つは、飲食物などの酸によってバイオフィルム内が酸性環境となることで、う蝕を進行させる細菌の割合が増加(マイクロバイアルシフト)したところに糖が加わるため。

2つめは、最近の産生する酸だけではく、飲食物に含まれる酸でも脱灰が進むため、さらに、象牙質う蝕が進行する過程において、コラーゲンの分解よりもハイドロキシアパタイトの脱灰の方が著しく進行することにより、コラーゲンが分解されることで働く歯髄応答が少ないことも考えられます。

 

複合う蝕の対応で最も需要なのは、原因の改善-すなわち酸と糖の両方を含む飲食物の摂取を制限することです。植生かとの問診を注意深く行ってもらって、患者さんの口腔内の状況と関連付けて説明を行います。日常的に摂取してるものを変更する、あるいはたまにとる程度に控えて頂くだけで、問題が解決することも稀ではありません。

★ 細菌は酸が好き?嫌い?

2023年9月9日

多くの細菌は酸性の環境では成長や生存が難しくなります。う蝕を進行させるS.mutansやLactbacilusでさえ、酸性環境下では成長が抑制されます。中には、Veilonellaのように乳酸が代謝する特殊な細菌もいますが、たいていの口腔内細菌は酸性の環境が苦手なのです。そのため、酸蝕所の患者さんの口腔内では、酸が流れる部位は細菌が減ってPCRが低値となります。

また、歯磨きを全くしていない人が砂糖を食べたとき、バイオフィルム中のpHの最低値は3.8付近で止まります。それ以下だと、細菌が活動できないためです。

★酸性の飲み物を取り続けるとう蝕になる?

2023年9月8日

飲食物に含まれる酸が酸蝕症を生じることはよく知られるようになってきましたが、う蝕の発生にも深く関係しています。それは、摂取した酸がう蝕を引き起こす細菌叢に変化をもたらすからです。被験者は歯咬合面に作成した穴にプラークをため、pH3.9のリン酸溶液で昼食後と就寝前に1分間の洗口をし続け、2週間後にプラークを摂取してS.mu-tansの割合を調べました。

 

すると、プラーク中のS.mutansの割合は、2週間で7倍にまで増加していました。酸性の飲食物を取り続けると、酸性の環境でも活動できるう蝕原性の高い細菌が多く生き残り、細菌叢の変化が起こります。これをマイクロバイアルシフトといいます。

そのため、酸と糖の両方が含まれた飲食物を取り続けると、口腔内が「虫歯になりやすい」環境に変化してしまうことが懸念されます。これは生態学的プラーク説にもつながった研究です。

★ 酸蝕はフッ化物で防げる?

2023年9月6日

酸蝕は、う蝕のようにフッ化物でふせぐことができないのでしょうか?

フッ化物の働きには、

➀再石灰化の促進

②脱灰の抑制

③結晶性の改善

④細菌の代謝阻害  があります。

 

酸蝕症には細菌が関わらない為、④は効果がありません。

➀~③については、フッ化物の存在下でハイドロキシアパタイトの臨界pHが4.5になり(エナメル質の臨界pHは5.5)、再石灰化が促進されることから、フッ化物がエナメル質の耐酸性を強化することが期待できます。

ところが、酸蝕症をおこすような飲食物の中には、pH4.5を大きく下回る酸蝕能の高いものがあります。そのような酸性に飲食物が歯面に直接流れ込むと、フッ化物による再石灰化が間に合わず、エナメル質はどんどん溶けてしまいます。

つまり、酸蝕歯バイオフィルムのない状態でう蝕の酸よりも強い酸により引き起こされるため、フッ化物で防ぐことがう蝕以上に難しく、原因の改善が必要となります。

★ 酸蝕歯の歯磨き

2023年9月5日

酸蝕症で脱灰が進んだ歯は、歯磨きによる摩耗が懸念されます。唾液による再石灰化の効果を期待するには、どのくらい時間を空けてから歯磨きを行えばよいのでしょうか?

 

ヒトのエナメル質をクエン酸で3分間脱灰した後に口腔内に装着し、時間をおいてから歯磨きを行って、摩耗量を計測した研究があります。時間を置くほど摩耗量は減少し、脱灰から歯磨きまで60分間あけると、摩耗量は有意に少なくなりました。

別の研究でも、1日2回、エナメル質を炭酸飲料(スプライト)に90秒間浸してから歯磨きをしたところ、30分、60分と時間が空くほど摩耗量は有意に少なくなりました。それでは、歯磨きをしていない歯よりはかなり摩耗してしまうことが分かります。酸蝕歯に対しては、唾液による再石灰化を期待して歯磨きを制限するよりも、やはり原因の改善を第一に行うべきです。

★ ヨーグルトは酸性なのになぜ歯が溶けないのか?

2023年9月2日

濃い塩水には塩がなかなか溶けないように、カルシウムとリン酸を多く含む液体には歯が溶けやすくなります。

エナメル質の臨界pHは5.5ですが、これはエナメル質に付着したバイオフィルム中のカルシウムイオンとリン酸イオンを平均的な濃度として計算した場合に、pH5.5になるとエナメル質が溶ける.という数値です。

そのためカルシウムとリン酸を多く含む液体中では、pH値だけ見れば酸蝕症の原因となりそうですが、カルシウムとリン酸が豊富なため臨界pHは3.9となり、エナメル質は溶けだしません。

しかし、たいていの産生飲料は臨界pHが高く、酸蝕症をおこす原因となりえます。炭酸飲料の中にはpH2.5で臨界pH6.5というものもあり、そのような飲料を飲み続けると酸蝕症が急速に進む恐れがあるので注意が必要です。

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