石田歯科
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★食べることで歯周病予防できる善玉菌がある!?

2023年2月25日

口の中には700種類以上の細菌が生息し、腸に次いで細菌数が多い場所です。歯周病が全身の病気に深くかかわることが明らかになっている現在、腸内環境と同じように口の中の細菌叢のバランスを整える食品等の摂取により、歯周病の予防・治療を目指す考え方が広がってきています。「プロバイオティクス」と呼ばれるものです。背景には抗菌薬の使い過ぎによって発生する、耐性菌の問題もあります。抗菌薬が効かない耐性菌は世界的に脅威となっており、それ以外の方法で病原菌を阻止する治療法がどの分野においても期待されているためです。

 

すでに研究されているのは乳酸菌の一種の「ロイテリ菌(ラクトバチルス・ロイテリ菌)で、基礎臨床・研究では歯周病菌を抑制する働きが確認されています。また、ほかの乳酸菌の「LS1」や「WB21」を歯周病患者さんが摂取すると、症状の維持や改善傾向が見られたという報告があります。これらの菌が含まれたヨーグルトやタブレットが市販されていますが、あくまで従来の治療の補助的な位置づけであり、それだけで歯周病を治すというものであはありません。

続 日本人はこうして歯を失っていく著 日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会

★ 歯周病菌は腸内細菌にも影響する!

2023年2月22日

腸は体の中で最大の免疫系といわれています。その特徴は約1000兆個もの腸内細菌ん(腸内細菌叢)で、善玉菌と悪玉菌が共生しています。善玉菌は乳酸や酪酸などを作り、悪玉菌の増殖を抑えて病原菌の感染や発がん物質の産生を抑制する働くがあります。このように善玉菌の働きを優勢に保つことが健康につながるわけです。

 

この重要な腸内細菌叢のバランスに口の中の細菌が関係していることがわかってきました。新潟大学のグループは、歯周病菌のP.g菌をマウスに口から投与して、その影響が全身にどのようにあらわれるか調べました。その結果、血管の炎症反応、脂質代謝の変動(人間における脂質異常症のような変化)、糖尿病で見られる耐糖能異常とインスリン抵抗性の誘導などが確認されたと同時に、腸内細菌のバランスが乱れること(ディスバイオーシス)がわかったのです。ほかには歯周病菌が腸内細菌の中から見つかったという研究報告が複数、出てきています。腸内環境を整えるためにも歯周病対策が重要といえそうです。

続 日本人はこうして歯を失っていく

著 日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会

★口は万病のもと ₋全身の病気との関係- ⑥

2023年2月21日

心筋梗塞や脳梗塞患者の多くは歯周病にかかっているといわれています。

心筋梗塞と脳梗塞は血管の病気の代表です。

特に脳梗塞は命が助かっても、麻痺などの後遺症が残るケースが多く、中高年には要注意といえる病気です。

1000人以上を対象におこなわれた研究で、重度の歯周病にかかっている人はそうでない人に比べ、脳梗塞や心筋梗塞などの循環器疾患の発生率が1.5~2.8倍も高いことが明らかになっています。

こうした循環器疾患の引き金になるのが動脈硬化です。動脈硬化とは血管の内側にコレステロールなどが沈着して血管が狭く硬くなり、血液の流れが悪くなった状態をいいます。歯周病と動脈硬化の研究については、動脈硬化を起こした血管内壁から歯周病菌が見つかったという報告が最初です。これまで循環器疾患にかかりやすい原因として、食生活や運動不足、ストレス、喫煙などの生活習慣が挙げられてきましたが、この報告以来、別の要因として歯周病が注目されるようになったのです。

その後の多くの研究で、動脈硬化の病変から悪玉3兄弟のP.g菌とT.d菌が高い頻度で見つかっており、特にP.g菌が病気と関連が深いと考えられています。

★口は万病のもと ₋全身の病気との関係- ⑤

2023年2月18日

歯周病を治すことによって血糖値が改善されます。

大事なことは、歯周病を治すことが血糖値の改善に役立つという点です。日本人の糖尿病患者を対象とした研究では重症の歯周病をもつ糖尿病患者に歯周病の治療をした結果、血糖値の指標であるHbAic(ヘモグロビンエーワンシー)が統計的優位に約0.4%改善したという結果が得られています。

 

また、過去に発表された糖尿病患者に歯周病の治療をした数多くの研究結果を解析したところ、「歯周病治療で改善するHbAicは約0.4%」と報告されており、重度の歯周病の人がしっかり治療をうければ血糖値が下がる可能性を示しています。

糖尿病の合併症については、HbAicを1%改善すると糖尿病関連死のリスクが21%、心不全が16%、心筋梗塞が14%、脳卒中が14%、微小血管障害が43%、末梢神経障害など細い血管の病気による手足の切断が37%予防できるとされています。

★口は万病のもと ₋全身の病気との関係- ④

2023年2月17日

歯周病による慢性炎症が関係して起こる病気には様々なものがあることが多くの研究で分かっています。ここでは、まじ、代表的なものについて紹介していきます。

 

1つは糖尿病です。

糖尿病があると、歯周病が悪化、重度の歯周病があると糖尿病が悪くなる。

糖尿病は歯周病との県連について最も研究が進んでいる病気の1つです。糖尿病があると歯周病が進行し、歯周病があると糖尿病が悪化するというように双方向に影響します。このため、歯周病は網膜症や腎臓病、神経障害などの合併症とともに、糖尿病の六番目の合併症とされています。医師が参照する診療ガイドラインをはじめ、患者さんが使用する「糖尿病連携手帳」にもしっかりこのことが明記されています。

 

糖尿病があると歯周病が悪化する原因の1つは、肥満など、メタボリックシンドロームの人の脂肪組織から多く分泌される「アディポカイン」という生理活性物質です。このアディポカインの生産が亢進すると、さらに他の炎症性サイトカインという炎症反応を引き起こし、血糖の代謝に悪影響を及ぼし、糖尿病を悪化させるのです。

 

また、肥満はそれほど高くなくても重度の歯周病を持っている人は、からだの炎症反応が高く、炎症性サイトカインが肝臓などの臓器や筋肉などがインスリンを使っておこなう糖の代謝を妨げ、インスリン抵抗性の状態を作りだしていることも示唆されています。

★口は万病のもと ₋全身の病気との関係- ③

2023年2月15日

炎症によって出てくる毒性の物質が体をめぐります。

歯肉には毛細血管が張り巡らされており、これが全身の血管につながっています。

歯肉が炎症を起こすと多種類「炎症性物質」がたくさん作られます。これらの炎症性物質は血糖値を下げるインスリンの働きを悪くさせたり、早産に関係したり、肥満を促進させたり、血管の動脈硬化を引き起こしたりする働きがあります。

こうした、炎症性物質が歯肉の血管から入り込んで血流を通じて各臓器にたどりつくということが分かっています。また、歯肉の血管からは歯周病菌や歯周病菌がもつ「LPS」という毒素も入り込みます。P.g菌が持つ「ジンジパイン」というたんぱく質分解酵素は、k細菌などの脳への侵入を遮断する「血液脳関門」をも通過し、アルツハイマー病悪化の引き金の1つになる可能性が示されいます。

また、歯周病菌の中には誤嚥によって、気管支から肺などにたどりつくものもあります。これらは多くの高齢者の死亡原因となる誤嚥性肺炎の原因となっております。「なぜ歯周病菌は血液の中を自由にめぐることができるの?からだには細菌が入ってきても、これを防御する力が備わっているのではないの?」と疑問に思う人もいることでしょう。確かにここがいまだに謎の多い点です。

 

ただ、歯科の病気では昔から「歯原性菌血症」(歯周病の病変部や、むし歯で歯の神経が感染し根の先に病気が出来ている状態を放置したことから病原菌が血管に入り、本来、無菌な血液中に細菌が入り込むことから発熱などが起こる)の存在が知られています。歯肉などの血管から細菌が入り込み、そのうち生き延びるものがいることは紛れもない事実です。

ただし、そうだとすれば、歯磨きで歯肉に傷をつけるだけで菌が入り込む危険があるということになります。しかし、それは心配ありません。炎症が一時的に起こる程度ならば細菌の侵入も少なく、体の抵抗力で細菌はすぐに抑え込まれます。一方、歯周病の場合は1日24時間、慢性的に炎症が生じている状態であるため、細菌が優勢となり生き延びる場合があると考えられるのです。

★口は万病のもと ₋全身の病気との関係- ②

2023年2月14日

手のひら大の炎症が24時間、毎日続いています。

 

「歯周病になるということは、手のひら大の炎症を治さないまま、生活しているということですよ」

歯周病の専門医は患者さんにこう話します。手のひら大の炎症。これは学術的な数値です。中等度の歯周病患者さんの持っている歯周ポケット周囲の歯肉の炎症の総面積を計算すると、「手のひらくらいの大きさ」(歯周ポケット5㎜~6㎜の深さの範囲の炎症×28本=72平方センチ)と算出されるというのです。歯周病は慢性疾患ですから、治療しないままでいるということは、この手のひら大の炎症を毎日、放置しているということと同じなのです。

★口は万病のもと ₋全身の病気との関係- ➀

2023年2月8日

歯周病がさまざまな病気の原因になります。そのキーワードは「慢性炎症」です。

歯周病の怖さは口の中にとどまらず、全身の病気の発症や悪化の原因の一つになっているということです。このため、歯科医師だけでなく、医師も歯周病に関心を寄せ、双方で「歯周病とからだ」に関する多くの研究を行っています。

そのキーワードは、歯周病の大きな特徴の一つである「慢性炎症(持続的に炎症を抱えていること)」です。

炎症とは、歯肉の発赤、出血、腫れや痛みのことです。歯周病になると歯周組織の炎症が起こり、特に歯肉は赤く腫れてきます。ひどくなると膿がでてくることもあります。この炎症が全身に悪さを引き起こす元凶と考えられています。

★歯周病になりやすい人は?

2023年2月7日

タバコを吸っている人は歯周病が悪化しやすいです。こんな話を聞いたことがありませんか?

歯周病を悪化させる要因はいくつかありますが、プラークなどの直接的原因を除いて最大のリスクファクター(危険因子)といわれているのがタバコ(喫煙)です。膨大なエビデンスから、非喫煙者と比較して喫煙者では歯周炎を発症するオッズ比が約2.8倍で、喫煙本数が多いほど症状が重くなり、高度な歯槽骨の吸収が見られます。

また、歯科医師であればヘビースモーカーの患者さんの治療に苦労した経験を誰もが持っていますが、実際に歯周基本治療をおこなった後、再治療が必要だった患者さんの率は喫煙者では42.8%だったのに対しt、非喫煙者では11.5%だったという研究もあります。

もう一つ、はっきりしているリスクファクターは糖尿病です。糖尿病でない患者さんと比べ、血糖コントロールが不良な2型糖尿病の患者さんでは各年齢において歯周病がより重度で歯周ポケットが深いなどのコントロールがうまくいかず、悪化するという相互への関連が明らかになっています。

このほか、喫煙や糖尿病ほどの根拠はないものの、肥満やカルシウム・ビタミンDの不足、骨粗鬆症。ストレスなどもリスクファクターといわれています。

★静かに進行するサイレント・キラー ②

2023年2月6日

歯周病の一部には若いころから急速に進行するタイプがあります。

歯周病は炎症がひどくなるときと一休みする時期を繰り返しながら、進行します。たとえば10代で初期の歯肉炎が発症し、放置しておいた場合でもすぐに重度の歯周炎にはならない場合が多いのです。

一方、10代20代で発症し、急速に歯周炎が進行するタイプがあります。侵襲性歯周炎と呼ばれているもので、適切な治療を受けなかった患者さんの中には若くして多くの歯を失ってしまう人もいます。このほか、ダウン症候群などの遺伝的な要因で、早い時期から重度の歯周炎が発症する場合があります。

いずれの歯周病の治療においても、プラークコントロールを徹底するという基本は一般的な歯周病と同じです。

 

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