★ どうしてちゃんと歯磨きをしているのにむし歯になるの?
2024年5月31日
毎日歯磨きをしているのにむし歯になった経験のある人がいらっしゃるのではないでしょうか?
診察でも「ちゃんと歯磨きしているのになんでむし歯になるの?」という会話は、毎日のように行われます。
むし歯になる原因はシンプルで、「口腔内に細菌と細菌のエサがあるから」です。
歯磨きは、それを除去する役割なのですが、不完全な歯磨きだとむし歯になってしまいます。
もう少し詳しくむし歯になるメカニズムを説明します。
口の中にいる細菌には、「むし歯菌」と「歯周病菌」と「常在菌」の3つあります。
主にむし歯の原因となるのはむし歯菌で、砂糖を主な栄養源としており、口中で滞在中に歯を溶かす酸を放出します。
このむし歯菌の量が増えれば増えるほど、放出される酸の量も増えるので、歯のエナメル質(歯の外側を覆う硬い組織)や象牙質(エナメル質より内側にある組織)がむし歯になります。
甘いものをよく食べたり、歯にくっつきやすいキャラメルやキャンディー、砂糖入りの飲料を好む人は、それだけ口内にむし歯菌のエサとなる砂糖が豊富ですので、むし歯になりやすくなります。
もうひとつ、むし歯のなりやすさは食生活だけでなく、歯並びや生まれつきの歯のエナメル質の丈夫さも関係があります。
例えば、歯並びが悪く一部へこんでいるようなくぼみがある場合は、時間をかけて丁寧に磨いても歯ブラシが届きにくいので、
汚れがたまってしまいむし歯になりやすいです。
また、ご自身の歯磨きの癖で、「同じところばかり磨いてしまう」「奥歯までちゃんと歯ブラシが届いていない」などブラッシングに偏りがある場合は、汚れを除去できないため虫歯になりやすくなります。
★MFT(口腔筋機能療法)の開始時期と訓練期間
2024年5月22日
開始時期及び訓練期間は、患者さん自身のやる気、年齢、歯並び・咬み合わせの状態などによって左右されます。
MFTは小学校低学年から成人までの幅広い年齢でできるため、「早くから始めなければ手遅れになる」というわけではありません。
問題の程度や内容によっては小さいお子さんであっても行うことがありますが、保護者の方の強力が不可欠です。
訓練の中にはスティックを加えるなど、一歩間違えると思わぬ事故が発生するものもありますので、ご家庭での訓練では保護者の方に十分に注意していただくことが必要です。
訓練は、2~4週間ごとに通院のたびに、次のレッスンに進める患者さんもいらっしゃいます。
その場合には半年8か月程度で終了できます。
しかし、筋肉の機能に極端な問題がある場合には、1年以上、または数年間(2~3年、またはそれ以上)を要することもあります。
たとえば、舌のコントロールが非常に悪い患者さんの場合には、そのレッスンだけで1年かかることもよくあります。
また、矯正治療が必要な患者さんの場合には、矯正治療に入る前にある程度レッスンを進めておいていったんお休みし、矯正治療が終わってから仕上げのレッスンを行うこともあります。たとえば、最初のレッスンを半年~1年、途中にお休み期間(数か月~数年、矯正治療の内容による)を挟んで、仕上げのレッスンを半年~1年くらい行うといったぐあいです。
★ MFT(口腔筋機能療法)で口腔機能を改善できる
2024年5月13日
MFTとは、「口腔筋機能療法」ともいい、「食べる」「飲みこむ」「発音する」「呼吸する」など、お口の関係のある機能を改善する訓練です。通院時のレッスンと毎日のご家庭での訓練で、よい歯並びを維持できるための環境を整えていきましょう。
歯は、舌・くちびる(口唇)・頬などの「口腔周囲菌」からたえず圧力を受けています。
「食べる」「飲みこむ」「発音する」「呼吸する」など、お口と関連した機能に問題があると、歯にかかる筋圧のバランスが崩れてしまいます。
そして、歯は正しい位置を保つことが出来なくなり、不正咬合や矯正歯科治療の後戻りの原因となります。
口腔周囲筋を訓練することにより筋圧のバランスを改善して、正しい歯並びを維持するための環境を整えることがMFTの主な目的です。
★ 口腔機能の問題が子供の将来に影響を与える
2024年5月10日
口腔機能は歯並びやかみ合わせに影響するあごの骨の形と密接な関係があるため、口腔機能の問題を放っておくと、それらに悪い影響を与えてしまう可能性があります。それは保護者の方からよくお聞きする、以下のようなお子さんのお口に関するお悩みとして現れます。
〇口呼吸のため、くちびる(口唇)を閉じて鼻呼吸をしながら噛めない(クチャクチャ食べ)
〇前歯の間から舌が前に出て(歯間音)、舌足らずな発音になる
〇帰宅時のガラガラうがいやブラッシング(歯磨き)の後のブクブクうがいがうまくできない。
〇錠剤が飲みにくい
特に近年、口呼吸が口腔機能だけでなく全身の健康状態に与える影響が注目されています。
口呼吸がどの程度から問題となりうるかの客観的なデータはまだ十分に得られてはいませんが、できるだけ鼻で息をするよう心掛けるのはいいことだと考えられます。
お子さまのお口の癖を放っておくと、以下のような悪い影響が考えられます。
お口だけでなく、体の健康にも影響します。
〇風邪の予防がしにくい
〇アレルギー性疾患が生じやすい
〇口臭が強くなりやすい
〇矯正治療の効果が得にくい
★覚えておこう!★
口腔機能の問題を放っておくと、歯列や咬合に悪影響を与えてしまう可能性があると述べましたが、歯列・顎骨の成長発育は口腔機能を善し悪しのみによって決まるのではありません。原因には「遺伝因子」と「環境因子」があります。
歯の大きさや顎骨形態は、生まれながらにもった「遺伝因子」に大きく左右されます。
口腔機能をいくら改善しても、遺伝因子は変えることができません。
一方、「環境因子」とは、成長発育の過程で受ける後天的な要素で、口腔機能の問題や、指しゃぶり、頬杖、睡眠態癖、栄養状態などがあげられます。口腔機能を改善することによって、環境因子により生じている歯列顎骨の成長発育の歪みを是正することが可能であると考えられます。
しかし、ここでもう一点機能と形態との関係で注意すべき点があります。
それは、「正しい機能は正しい形態とともにある」ということです。
遺伝要因によって生じた不正咬合の多くは、矯正装置を使用した歯科治療を行わなければ改善することができません。
本格的な矯正治療が行えない若年者(~8.9歳)の場合には、携帯をある程度までしか改善できないことがありますので、
その時期には機能もある程度までしか改善できません。
適切な矯正治療が行える年齢が来るまでは、口腔機能のアプローチも可能な範囲内で行うべきで、
焦って完璧を求めても、無理が生じてしまいます。
具体的な例としては、前歯部が前方に突出している状態のままで口唇を閉鎖することを強要しても、オトガイ金の過緊張が生じてしまい、かえって正しい口腔機能が得にくくなってしまいます。
したがって、矯正治療による形態治療と機能訓練は互いに連携を取って行うべきです。