★GTR法とエムドゲイン法どちらがいい?
2022年8月30日
GTR法でもエムドゲイン法でも、期待できる効果や治療の条件はほぼ同じですが、
GTR法のほうが技術的にも難しく、効果が歯科医師の技量や経験に左右されやすいという面があります。
主治医がどちらを得意としているのか、費用、その後の治療計画などについて説明を受けてください。
再生治療ができない場合も・・・
歯周病になっても、今は骨の再生手術があるから大丈夫と考えがちです。
しかし、一般的に再生療法の対象となるのは中等度。
重度で歯槽骨の吸収が進みすぎていれば、骨の再生はあまり期待できません。
また、再生療法は歯科医院のイスの上でおこなうとはいえ、体を切る手術ですから、
全身状態が悪い人は受けることができません。
歯周病では、重度の糖尿病や心筋梗塞など持病を持っている人が多いのですが、
持病を隠して手術をすると、出血が止まらないなど思わぬ事故につながります。
きちんと持病を歯科医師に申告したうえで、治療方針を話し合ってください。
なお、喫煙する人は、しない人に比べて歯槽骨が再生しにくいことがわかっています。
★GTR法とエムドゲイン法
2022年8月27日
現在おもになわれている歯周組織再生方法には
GTR法とエムドゲイン法という2つの方法があります。
フラップ手術で歯肉を開いて歯周ポケット内にあった歯石を取り去ると、
歯と接する骨の部分は溶けてすき間が開いた状態になっていますが、
歯周病の原因の汚れは除去されているので、ここには歯肉が再生されます。
実は歯槽骨も再生するのですが、歯肉の増殖スピードの方が圧倒的に速いため、
歯槽骨が再生される前に歯肉が再生されて歯槽骨があったはずのすき間を埋めてしまい、
骨が再生されるスペースがなくなってしまうのです。
そこでGTR法では人口膜で壁を作って、歯と失われた歯槽骨の間にスペースを確保します。
膜でおおわれたスペースには歯肉は入り込めないので、歯槽骨が再生されます。
一方、エムドゲイン法はエムドゲインというドロリとしたゲル状のタンパク質を、
露出した根表面と吸収されてしまった歯槽骨に塗ります。
歯肉の再生が抑制されるだけでなく、エムドゲインのタンパク質が歯根部の細胞に働きかけ、
歯槽骨が再生されるのです。
GTR法もエムドゲイン法も歯周組織の再生は手術を受けた直後から始まり、
個人差はあるものの、半年以上経過すればエックス線写真で骨の再生を確認できます。
再生した状態を維持するには、毎日のブラッシングなど患者様自身のセルフケアはもちろん、
歯科医師によるメンテナンスも不可欠です。
GTR法とエムドゲイン法
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
★歯周組織再生療法とは・・・
2022年8月10日
歯周組織再生療法とは、破壊された骨を再生させることです。
歯周病の基本治療やフラップ手術で歯や根の面を掃除して
歯周病の原因細菌が潜んでいるプラークや歯石や除去することができれば、
歯周病はの進行はストップし、歯周組織の炎症は改善します。
フラップ手術だけでも70%程度は回復が見込めます。
しかし、すでに歯槽骨が吸収されるなど歯周組織の破壊が骨にまでおよんでいる場合、
原因を除去しても壊れた骨まで完全に回復することはできません。
土台となる骨が心もとないので歯は安定しないし、抜歯をしなければならなくなることもあります。
そこで壊れた土台を作り直す歯周組織再生療法が推奨される場合が多いのです。
★フラップ手術とは・・・
2022年7月29日
歯周病の進f行度にかかわらず、まず行われる治療は、
プラークや歯石の除去を中心とした歯周基本治療です。
歯周基本治療をすれば歯と歯肉はくっつき、歯周ポケットを浅くすることができます。
しかし、プラークや歯石が歯周ポケットの奥深くに入り込んでいて、
外側から取れずに残ってしまうと、歯と歯肉はくっつきません。
そこで効果的なのがフラップ手術(歯肉剥離掻爬術)です。
歯周基本治療をしても歯周ポケットが5ミリ以上残って歯石がとれていない場合は、
フラップ手術を検討します。
局所麻酔をしたのち、歯に添って切開して歯肉を開き、歯根を露出させた状態にして
スケーリングやルートプレーニングをします。
こうすれば、外側からでは器具が届かなかったプラークや歯石を根こそぎ取り除くことができます。
その後は、歯肉を元に戻して、縫合します。
フラップ手術は徹底的に清掃ができる反面、治療後に歯肉が下がって、
歯が長くなったように見えてしまうことがあります。
とくに前歯は下がりやすいので、こうしたリスクについても十分説明してもらったうえで
手術を受けるようにしてください。
フラップ手術の流れ
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
★歯周外科治療とは、、、
2022年7月12日
歯周外科治療は手術のことです。目的によって3つに分けられます。
➀フラップ手術→汚れの徹底清掃
②歯周組織再生療法→崩れた土台を作り直す工事
③歯周形成手術→見た目の改善を主目的に、外壁を修復する
フラップ手術は、スケーリングやルートプレーニングでとりきれなかった歯周ポケットの
奥深くにあるプラークや歯石を、歯肉を切り開くことによってしっかりとり去ります。
歯根表面をきれいにし、歯周ポケットを浅くするための治療です。
歯槽骨が吸収されてしまっている場合は、歯槽骨の再生を促す歯周組織再生療法が追加されます。
一方、歯周形成手術は歯肉が下がって歯が長く見えるようになってしまった場合に、
他の部分から歯肉を移植して形成し、見た目を良くする方法です。
★かみ合わせの調整
2022年7月6日
歯周病で歯を支える歯槽骨が吸収されて歯がグラグラしている場合、
噛んだときに1本の歯に負担がかかりすぎないようにかみ合わせの調整や、
揺れのある歯を隣り合っている歯と連結して安定させる暫間固定をします。
また、むし歯で穴が開いた部分にプラークがたまる場合はむし歯治療を、
歯並びが悪くて歯が重なった部分などにプラークが付着しやすくなっている場合は、
歯周基本治療が終わった後に矯正治療をおこなうこともあります。
さらに歯ぎしりや食いしばり、タッピング(歯をかちかちさせる)といった
ブラキシズムの癖があると歯周病が悪化しやすいため、
睡眠時にマウスピースを装着して歯や関節への軽減させる治療もおこないます。
いずれも歯周病の誘因を取り除いて悪化を食い止める治療で、
歯周基本治療の一環とされています。
★スケーリング、ルートプレーニングとは・・・
2022年6月28日
〇プラークや歯石には薬液が浸透しないので、
薬液で汚れを分解するといった科学的な作用を利用することはできません。
そこで、先が鋭いスケーラーという道具を使って、
カリカリと剥がして落とすスケーリングをおこないます。
近年は超音波を利用して汚れをとる超音波スケーラーを使う歯科医院も増えました。
〇歯周ポケットの中のプラークや歯石を除去するとともに、
歯根の表面を滑らかに整える処置をルートプレーニングと言います。
スケーリングとおこなうことが多く、ルートプレーニングを加えることで
汚れの付着を防げるだけでなく、歯肉と歯根の表面がくっつきやすくなって、
歯周ポケットを浅くする効果も期待できます。
深い歯周ポケットのスケーリングやルートプレーニングは痛みをともなうことが多いので、
局所麻酔をしてから行う場合もあります。
※スケーリングの手順
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
★歯周病の患者さん自身のセルフケア
2022年6月20日
何度もお伝えした通り、治療の基本は細菌のすみかになっているプラークや歯石を取り除く事。
まず、患者さん自身が毎日のブラッシングなどで汚れを落とすセルフケアが不可欠です。
しかし、自身でブラッシングするだけでは、限界があります。
汚れは単なる食べかすではなく、食べかすをエサにして作られた細菌の塊です。
ネバネバした物質を出す細菌によって排水溝のぬるぬるした膜のようなバイオフィルムができていて、
落としにくいのです。また、歯の表面の汚れはとれても、ブラシが届かない歯周ポケットには
汚れは少しずつたまっていきます。
プラークは歯ブラシでとれますが、歯周ポケットの中や磨き残しのプラークは歯にこびりつき、
そこに唾液中のカルシウムなどが取り込まれて石灰化し、がちがちに固い歯石になります。
プラークができてから歯石になるまでは約2週間。
歯石になってしまうと、もう自分では落とせません。
歯科医院ではスケーリングとルートプレーニングという方法で、機械的に汚れをかき落とします。
★歯周病検査 ④歯の揺れ ⑤レントゲン撮影
2022年6月8日
④歯の揺れ
プローブの柄やミラーの柄などで歯を挟んで動かしてみて、
歯がどの方向にどのくらい動くかを確かめます。
歯を支えている歯槽骨などがどのくらい吸収されているのかの目安になります。
⑤レントゲン撮影
エックス線検査の画像からは、歯槽骨の吸収状態や、
歯の分岐部(2~3本の根で支えられている奥歯などの場合、根が分かれている部分)の病変、
歯石の付き具合などがわかります。
また、歯周外科治療を受けた場合は、治療前と治療後のエックス線写真を比較することによって、
歯槽骨がどの程度回復したかを判断することができます。
歯科治療におけるエックス線撮影法はいろいろありますが、
その中でも多く使用されるものに、パノラマエックス線検査とデンタルエックス線検査があります。
パノラマエックス線は上下のあごの骨を含めたすべての歯を撮影したもので、
かみ合わせの状態など全体の様子がよくわかります。
一方デンタルエックス線は一部分にフォーカスして撮影したもの。
一度に3本程度までの狭い範囲しか写し出すことはできませんが、
虫眼鏡で拡大したように細かく歯槽骨や歯根の様子がわかります。
★歯周病の検査 ③歯周ポケット検査
2022年5月24日
歯周ポケット(歯と歯肉のすき間)にプローブ(目盛りのついた先端が丸い針)を挿入して、
その深さを測ります。プローブを挿入するときの痛みは、
歯肉が健康であればチクチクする程度ですが、歯周病が進行していると、
傷口を触られるような強い痛みだったり、逆にあまり痛くなかったりすることもあります。
プローブを挿入して歯周ポケットの深さを測ったあとに血や膿が出るかどうかも重要なポイントです。
歯周ポケットの深さや出血状態から歯周病の進行具合、歯肉の炎症状態がわかります。
歯周ポケットの深さと歯周病進行度は、目安です。
軽度の歯肉炎であっても、歯肉が腫れることで見かけ上、歯と歯肉の境目が深くなる、
仮性ポケットを形成することもあるので、1本の歯の歯周ポケットの深さだけでは、
正確に診断することはできません。歯科医院では歯周ポケットの深さだけでなく、
レントゲンで歯槽骨がどの程度吸収されているかも含めて、進行度を診断しています。
〇歯周ポケットをプローブで測っている様子
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より