★ブラッシング実践編②
2022年11月9日
〇デンタルフロスの正しい使い方
デンタルフロスは
1日1回、ブラッシングのあと使用するとよいでしょう。
★準備:フロスを指に巻く
フロスを30~40センチ取り、親指の先をくっつけた長さで両中指にフロスを巻き付けます。
基本のデンタルフロスの動かし方
➀歯肉の境い目よりちょっと下、つまり歯肉に少しかくれるまでそっとフロスを入れて動かします。
②フロスで歯の側面をこするようにして、上下に数回動かします。
同じことを隣の歯の側面でもおこないプラークをとります。
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会
〇しっかり磨けているか、染め出し剤でチェック
磨き残しをチェックするのに便利なのが、染め出し剤です。
液剤やジェル剤、錠剤などがあり、最もポピュラーな液剤の場合、
綿棒にしみこませて歯に塗り、水ですすぐと、歯に付着しているプラークをはっきり確認できます。
染め出された場所は、磨き残している場所ですから、
何度か染め出してみていつも同じ場所が赤く染まるようであれば、
ふだんの磨き方を改善する必要があります。
赤く染まった場所を意識して磨くことにより、確実に磨き残しをなくすブラッシング法を取得できます。
さらに、ブラッシングの後にもう一度確認染めをして、磨く前に染まっていたところが染まらなければ
プラークはきれいに落とせたことになります。ブラッシングの成果が目に見えてわかることで、
ブラッシングに対するやる気がでるというメリットもあります。
自分でチェックする目を養うのは大事なこと。
歯科医院のブラッシング指導でも染め出しはおこなわれますが、
染め出し剤は、歯科医院やドラックストア、通信販売などで手に入れることができるので、
自宅でもやってみてください。
★ブラッシング実践編
2022年11月8日
〇歯ブラシの正しい使い方
プラークを落とすには、歯の表面と歯肉に歯ブラシの毛先を正しく当てて、
小刻みに往復運動をしていきます。
また、歯ブラシの先端側や、持ち手側の角の毛束をうまく使って、
すみずみまで磨きましょう。自己流でもきちんと全体が磨けていればいいのです。
ポイント
➀歯と歯肉の境い目に45度の角度で当て、歯周ポケットに毛先が入ることを意識する
②軽い力で細かく動かす
③一か所につき20回が目安
※前歯の裏側を磨くには、歯ブラシを縦にするのがコツ。
歯ブラシのハンドルを立てて持ち、前歯の裏側に歯ブラシの毛先を当てて、
細かく動かします。
〇歯間ブラシの正しい使い方
➀基本(ブラシを直角に入れる)
歯と歯の間に、まず表面(頬側)から直角に歯間ブラシを入れます。
そのとき、歯間ブラシの先端は歯肉から離して挿入してもよいです。
一度手をゆるめ差し込んだ方向を確認し、ブラシを前後に動かしてプラークをかき出します。
②局面に合わせてブラシの角度を変える
次に挿入した歯間ブラシの角度を変えて、奥から手前に斜めに向けてブラシを入れ、
前後に動かします。ブラシの毛先をきちんと歯の表面に当てて動かしていないと、
プラークを取り残す原因になります。
③反対の角度からも挿入し、同様に磨く
歯間ブラシの角度を変えて、手前から奥に斜めにブラシを入れるようにして、
同様に磨きます。おわったら、今度は裏側(舌側からも)ブラシを挿入していきます。
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
★ブラッシング道具紹介②
2022年11月5日
③歯間ブラシとデンタルフロス
歯間ブラシはつま楊枝のような細い針金に清掃のための毛が付いたブラシ状の道具で、
歯と歯のすき間に差し込んで使います。
さまざまな太さのものが市販されていて、細すぎるとプラークがとれず、
太すぎると歯や歯肉を傷めたりする恐れがあります。
すき間の大きさに合わせたものを選んでください。
サイズがわからないときは、歯科医師に相談しましょう。
デンタルフロスは、歯と歯の間に入れやすいように糸にワックスをコーティングして
滑りを良くしたものが主流です。
ワックスをコーティングしてないものはノンワックス、アンワックスと呼ばれ、
滑りが良くないぶん歯の間に入れにくいのですが、このタイプのほうがプラークをしっかり除去できます。
また、形状も、長いものを適当な長さにカットして使用する糸まきタイプもあれば、
持ち手がついたフロッサータイプもあります。
歯間ブラシとデンタルフロス、両方使う必要はなく、
歯間ブラシが歯と歯のすき間に無理なく通って動かせるのであれば、
歯間ブラシを使うと良いでしょう。
とくに歯周病で歯肉が下がると歯と歯のすき間が広くなりますから、
すでに歯肉が下がってしまっている人はデンタルフロスよりも、歯間ブラシが適しています。
歯と歯のすき間が狭く、歯間ブラシが通らない人には、デンタルフロスをお勧めします。
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
④歯磨き剤
歯磨き剤には歯周病を予防する成分などが含まれているため、
患者さんから歯磨き剤の量を多くした方がいいんですかと質問されることがあります。
テレビコマーシャルで歯ブラシいっぱいにしぼりだしているのを見て、
その通りにやっている患者さんもいます。
しかし実際には歯磨き剤の量を多くすると、口の中が泡でいっぱいになって、
細かいところがしっかり磨けません。
さらになんとなくすっきりするので、短時間でも磨けたつもりになってしまいがちです。
歯磨き剤の量は、チューブから5ミリほどで十分です。
あるいは、歯磨き剤をつけずにていねいに磨き、そのあと歯磨き剤を少量つけて仕上げる
二度磨きもおすすめです。
こうすれば、しっかり磨けて、歯磨き剤の清涼感も得られます。
★ブラッシング道具紹介➀
2022年11月4日
➀歯ブラシ
歯ブラシを選ぶときに重要なのは、歯肉を傷つけることのないもの、
歯垢をしっかり落とせるもの。具体的に次の5つをポイントに選んでください。
〇ナイロン毛
〇植毛が密なもの(3列が目安)
〇毛の硬さはふつうか、やわらかめ
〇ヘッドは小さめ(小回りが利き、歯肉にも届きやすい)
〇柄はストレート
患者さんから質問されることが多いのは、
毛のやわらかさはどのくらいがいいですかということ。
やわらかすぎるものは歯や歯肉に当たると毛が寝てしまって、
プラークを落とすことができません。
逆に毛が硬すぎるのものや毛先がとがっているものは、歯肉を傷つけてしまいます。
大手生活用品メーカーが販売している一般的な歯ブラシの中から、
まず普通と表示されている商品を選び、使ってみて痛いと感じたら、
それよりもやわらかめのものに変えてください。
自分にどれが合うのかわからないという人は、歯科医院でブラッシング指導を受ける際に、
歯科医師や歯科衛生士に選んでもらいましょう。
歯科医院で歯ブラシを購入することもできます。
★歯ブラシのポイント
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
②ワンタフトブラシ
奥歯など歯ブラシでは届きにくい場所の磨き残し対策に便利なのが、ワンタフトブラシです。
ワンタフトブラシは、スティックの先端に小さなブラシの毛束が1つだけ付いている構造で、
小回りが利くので奥まった歯や歯並びが悪くて引っ込んでいる部分もしっかり磨くことができます。
★ブラッシングの道具選び
2022年11月2日
〇基本は歯ブラシ、さらに歯間ブラシなどの補助具で磨き残しを減らす
道具の基本は歯ブラシです。道具が増えると一つひとつがおろそかになりがちです。
ましてやこれまで歯ブラシですらきっちりブラッシングができない人は、
まず歯ブラシを使いこなせるようにしていきましょう。
次に必要なのが、歯ブラシでは取りづらい歯と歯の間のプラークをとる補助的な清掃機具です。
すでに歯周病が進行して歯肉が下がってしまった人には、歯間ブラシが効果的です。
一方、子どもや歯肉が下がっていない健康な人は歯間ブラシを使うと歯肉を下げてしまうので、
デンタルフロスが適しています。
また、デンタルフロスの使用は、歯周病になっていない人にとって予防になりますから、
子どもの頃から使い方に慣れておくことが大事です。
奥歯など奥まった磨きにくい場所は、ワンタフトブラシが有効です。
これらは歯周治療には必須の器具なので、まだ使ってない人は是非使ってみてください。
最近は電動ブラシを使う方も増えて、便利な道具ですが、コツも必要です。
★ブラッシングの目的・基礎
2022年10月29日
〇ブラッシングの目的
ブラッシングの最大の目的は、うがいでは取り除けないプラークを取り除くこと。
歯科医師は、歯肉をマッサージするつもりで歯ブラシを当ててくださいと指導することがありますが、
これは、マッサージが主な目的というわけではなく、歯と歯肉の両方に歯ブラシを当てるイメージを
もってもらいたいからです。
ただしプラークを取り除こうとして磨き過ぎると、歯肉を傷つけてしまうので、コツが必要です。
〇ブラッシング基礎編
頻度:最低1日1回はていねいに。
日本人は一般的にどのようなブラッシングをしているのでしょうか。
10~60代の全国の男女1200人に調査をしたところ、ブラッシングの頻度は、
76%の人が1日に2回以上、1回あたりの歯を磨く平均時間は1~3分でした。
患者さんからブラッシングは毎食後にした方がよいのかと聞かれる時があります。
毎食後ブラッシングができれば理想的ですが、1日3回短時間でサッとやるよりも、
1日1回でいいからしっかり時間をかけて磨いた方が歯周病には効果的です。
それに日中仕事をしている場合は、朝と夜は磨けたとしても、昼食後のブラッシングは難しいものです。
無理をすると続きませんから、時間に余裕がある夜寝る前などに、お風呂に浸かりながらでもいいので、
ていねいにブラッシングするようにしてください。
では、ていねいなブラッシングとは、どのようなブラッシングでしょうか。
実はこの「ていねい」のイメージは人によってかなり違いがあります。
たとえば、3分間のブラッシングをていねいすぎると感じる人がいる一方で、
3分では短すぎて全然磨けていないという人もいます。
わかりやすいように時間で示すなら、最低10分が目安。
長いと感じるかもしれませんが、一般に歯は全部で28本ですから、1本あたり20秒ほど。
1本1本ていねいに磨くには、この程度の時間は必要です。
ただし、歯ブラシが磨くべきところにきちんと当たっていなければ、
10分磨こうと、20分磨こうと意味がありません。
正しく磨くことが大事です。
★ブラッシングをマスターする
2022年10月26日
〇きちんと磨けていない人が多い
歯周病で受診する患者さんの中には、ほとんど歯を磨いたことがなくて、
歯周病にになったのは当然の結果という人がいます。
その一方で、毎日歯を磨いていたのに・・・と、歯周病になったことが納得できない人もいます。
しかし、きちんと歯を磨いていると主張する患者さんの状態を染め出し剤でチェックしてみると、
真っ赤になるケースがほとんどです。
これはきちんとプラークが落ちていない証拠、つまり磨き方が間違っているのです。
ブラッシングはたいてい親が子に教えるので、親のやり方を踏襲している場合が多いのです。
つまり、大人が間違った方法でブラッシングをしていれば、
それを見て覚えた子どもも間違ったブラッシング方法を身に付けてしまうことになります。
結果、家族みんなで間違ったブラッシングをしている危険があるわけです。
★歯周病は歯科医師だけでは治せない!
2022年10月25日
〇セルフケアはブラッシングと全身の健康管理の2本柱
歯科医院に通うとセルフケアも大事ですと言われることが少なくありません。
歯周病のセルフケアというのはまず局所のケア、すなわち毎日のブラッシングです。
さらに歯周病は全身の健康にかかわる感染症ですから、
維持のコントロールや生活習慣の改善といった全身の健康管理も不可欠です。
患者さんの中には歯科医院に通っていれば歯周病は治るだろうと考えている人がいます。
しかし、同じ進行度の患者さんが同じタイミングで歯科医院に通いはじめても、
セルフケアを努力している患者さんと歯科医師任せで何もしない患者さんでは、
治り方も、通院回数も、治療にかかる費用も、将来歯がどうなっていくかもまったく違ってきます。
〇手のひらサイズの炎症を放置できますか?
中等度の歯周病になっている患者さんの場合、歯周ポケット周辺の炎症の総面積は、
手のひらくらいの大きさといわれています。
もし、顔に手のひらサイズの炎症があれば、普通は放っておかないはず。
見た目はもちろんのこと、放置して化膿すれば大変なことになりますから、治療をするでしょう。
ところが歯周病は、歯肉の中の見えにくい部分で炎症が起きているために多くの人が無頓着。
放置している間に歯を支える骨が溶けていくだけではなく、全身に感染が広がっていきます。
〇化粧品やサプリにお金をかける前に、歯のケアを
高齢化が進み、アクティブシニアが増えている今は、アンチエイジングがブーム。
いくつになっても若く美しく健康でありたいと、外見や体力、脳の老化防止などに関心が集まり、
ジムに人があふれ、高額な化粧品やサプリメントが売れています。
ところが意外と歯に気を使う人は少なく、外見は若々しいのに口の中はボロボロで、
歯が抜けかかってから歯科医院を受診してくるケースが後を絶ちません。
歯をいい状態に保つことは、外見だけでなく、食べ物をしっかり噛んで滑舌よく話すといった機能面、
そして全身の健康を維持するという面からも、究極のアンチエイジングといえます。
セルフケアを習慣にしましょう。
★治療の実例③
2022年10月22日
〇繰り返す歯肉の腫れと痛み➡歯周再生療法で、溶けてしまった骨を再生
主婦のCさんは、2年ほど前から睡眠不足や
疲れがたまると歯肉が腫れて膿が出るということを繰り返していました。
体調が回復すると楽になるのでそのままにしていましたが、
あるとき右下の歯肉がぷっくりと腫れて何もしなくても痛い状態になり、
がまんできなくなって慌てて歯科医院を受診してきました。
Cさんは口の中は全体的に歯周病が進行し、とくに右下は重度の歯周炎の状態だったため、
ひとまず抗生物質と消炎鎮痛剤の服用と、歯周ポケットを洗浄して細菌を洗い流す治療をすることに。
2週間後にはだいぶ炎症が治まったので、麻酔した上で、
症状がひどい右下を中心にスケーリングとルートプレーニングをおこないました。
ところがその3か月後に検査をしてみると、重症だった右下だけは歯周ポケットが深いままで、
歯槽骨もかなり吸収されてしまっています。
このままでは歯槽骨の再生は期待できないと判断し、
右下部分をフラップ手術で開いて清掃すると同時に、
エムドゲイン法による歯周再生療法も加えました。
8か月後にレントゲンで歯槽骨が再生されたのを確認し、
以降は3~4か月に一度のメンテナンスを続けています。
★治療の実例②
2022年10月19日
〇重度の歯周炎はフラップ手術で➡
歯周病の治療後、ブリッジで歯を補ってしっかり噛めるように
会社員のBさん50歳は、何年も前からあちこちの歯が腫れて膿が出るという症状に悩まされながらも、
仕事の忙しさを理由に放置してきました。
しかし歯がぐらぐらしてきてきちんと噛めなくなったため、やむなく歯科医院へ。
歯肉の炎症はかなり進行し、さらにレントゲンでは歯槽骨も吸収されていて、
重度の歯周病と診断されました。
まず全体を6分割して週1回ずつスケーリングとルートプレーニングを実施。
治療と検査を数回繰り返した結果、ある程度回復は見られたものの、
歯周ポケットの深さにあまり変化はなく、歯槽骨の再生も今ひとつでした。
そこで、改善が見られない箇所は、フラップ手術をおこないました。
手術後、グラつきが激しかった奥歯1本だけは抜くことになりましたが、
それ以外は歯槽骨の再生が始まって揺れがおさまってきました。
根の治療をした上で複数本連結した人工歯をかぶせるなどの補綴治療を実始。
初診から1年が経った今は問題なく噛めるようになっています。
なお、Bさんは喫煙者で当初は禁煙を指導してもやめることができなかったのですが、
フラップ手術を受けるにあたり、きっぱり禁煙したことも回復を早めた要因でしょう。
現在、3ヶ月に一度、メンテナンスに通っており、以前はいいかげんだったブラッシングも、
ていねいにやるようになりました。
噛めるので食事が楽しみ。歯の調子だけでなく、体調も良くなったといいます。