★増殖する歯周病菌 感染は防げるのか? ③
2023年02月1日
歯周病の原因と考えられる菌は、これまでたくさんの種類が見つかっています。このうち、歯周炎の患者さんに多く見られ、特に悪質な菌といわれる3種類が「P.ℊ菌(Porphyromonas-gingivalis.ポルフィロナモス・ジンジバリス)」「T.f菌(Tannerella forsythia.たん慣れら・フォーサイシア)」「T.d菌(Treponema denticola.トレポネーマ・ディンティコラ)」です。
研究のモデルでこれらは「レッドコンプレックス(コンプレックスは集合体」の意)」と呼ばれています。歯周病菌の細菌叢の病原性ごとに6つのグループに分けたときに、ピラミッドの頂点に位置し、そこが赤色で示されているためです、読者の皆さんには、レッドカードを受けた質の悪い菌という意味で、「悪玉三兄弟」と覚えて頂くといいでしょう。」
悪玉三兄弟の中でもP.ℊ(ピージー)菌は特に有名です。歯周病の研究の中でも早くから注目され、高い病原性を持つなど、その生態が詳しく知られています。高血圧や動脈硬化、アルツハイマー病などの全身病にもかかわっている原因菌として知られているのもこのP .g菌です。
一方で、P.g菌をはじめ歯周病菌が口の中に棲んでいるだけでは歯周病にはなりません。歯周病菌は、ほとんどの人の口に生息しています。そして、どんなに清掃をしても、ゼロにはできません。しかし、誰もが歯周病を発症するわけではありません。
口の中は700種類以上もの細菌が棲んでおり、帳に次いで最近の多い場所です。細菌には、体に良い働きをするものもあり、こうした善玉菌が優勢な環境だと歯周病菌の活動は抑え込まれれるのです。
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より