★なぜ怖いのか?歯の周りの骨を破壊していく病気「歯周病」の正体③
2023年01月27日
サポートを失った歯は自然に抜けてしまいます。
歯周ポケットが深くなり、炎症が拡大していくと、歯の周りの骨も破壊され続け、やがて支持を失った歯はぐらつき始めます。むし歯もない綺麗な歯であっても歯周病が進めば、最後にはある日ぽろりと抜けてしまうことがあるのです。
歯根の先まで失われた歯槽骨は元には戻りません。進行した段階では歯周病治療を行ったとしても、炎症をコントロールして、歯周組織が破壊されるのをストップするのが精いっぱいです、
歯を失う原因の第一位は歯周病で全体の約4割、むし歯は第二位で約3割です。50代くらいから徐々に歯を失い、部分入れ歯やインプラントを入れる人が増えていきます。進行した歯周病で来院される患者さんはそれまで長い間、歯科医院から遠ざかっていた人も多く、「歯を残せない」ことを知ると、「えっ、まさか」とショックを受けます。歯を代わりとして使用する入れ歯についても抵抗を感じる人は少なくありません。
歯周病で歯を失う人が多い原因の一つは、ある程度進んだ段階まで重篤な症状に気づかなかったり、気づいたとしても深刻な状態であると考えていないからです。歯周病が別名「サイレント・ディジーズ(静かに進行する病気)」いわれるゆえんです。むし歯と違い、痛みがほとんどないだけではなく、歯周組織の内側は目に見えないので、病気が進行していることに気づきにくいのです。中等度の病変になると歯槽骨が吸収するために歯を支えきれなくなって、歯が動くようになるのですが、それでも放置してしまうケースは決して珍しくありません。歯周病の進行は、細菌を抑える体の抵抗力や生活習慣にさゆうされるため、進行の度合いには個人差があります。体調が悪化すると症状が出るけれど、しばらくすると落ち着いてしまう、ということを繰り返すパターンも少なくありません。むし歯のように強い痛みが出ないことも多いので、「治ってきた」と勘違いしてしまうのです。