★歯周病を悪化させるものはこんなにもある
2022年4月13日
同じようにブラッシングしていても、歯周病になりやすい人とそうでない人がいます。
その違いはどこにあるのでしょうか。
歯周病の発症や悪化にかかわる要因は➀口の中の細菌の攻撃力、
②患者さま自身の抵抗力、③生活習慣(環境)の3つに大きく分けることができます。
まず➀細菌です。歯周病のおおもとの原因は、口の中の歯周病菌です。
口の中には、良いものも悪いものも含めて一般的に培養できるものは
400~500種類ほど、培養できない細菌も入れれば700種類ともいわれる細菌が棲んでいます。
この中により多くの種類の歯周病菌がそろっている人のほうが、リスクが高い可能性があります。
またレッドコンプレックスと呼ばれる悪性度の高い3種類の歯周病菌を
全部持っている人もリスクが高いとされています。
とくにきわめて悪性度の高いポルフィロモナス・ジンジバリスを持っていると、
歯周病は5倍進みやすいといわれています。
②患者さま自身にかかわる要因として、わかりやすい例が糖尿病の人です。
どんなに歯周病菌が強力に攻撃してきても、外敵に対応する体力や免疫力が高ければ、
やっつけることができますが、糖尿病で免疫力が低下している人は、歯周病を発症しやすく、
悪化しやすいことがわかっています。
また年齢が高くなればなるほどリスクは高まり、女性は思春期や妊娠中、更年期など、
ホルモンが変動する時期は症状が悪化しやすくなります。
あまり多くはありませんが、遺伝的に歯周病になりやすい人もいます。
さらに大きな影響を及ぼしているのが、生活習慣などの③環境です。
ストレスや肥満、運動不足などさまざまですが、とくにタバコは吸えば吸うほど
歯周病にかかりやすくなることが明らかになっています。
タバコのニコチンに含まれる有害物質は免疫機能や細胞の働きを阻害して
歯周病の進行を早め、治りにくくしています。
有害物質の影響で歯肉の血行が悪くなっていることも
歯周病の悪化に拍車をかける原因といえるでしょう。
歯周病の三大要因
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
★簡単にわかる歯周病のポイント part2
2022年4月12日
〇口臭
歯周病が進行すると、歯肉から排出される膿のために、
独特のイヤなにおいが発生します。
かなりのにおいですが、自分では慣れてしまってなかなかわかりません。
また周囲の人が口臭に気づいたとしてもなかなか本人に言いづらいものです。
家族などごく親しい人に、聞いてみましょう。
パートナーやお子さん、お孫さんに口臭を指摘されて歯科医院を受診したことが、
歯周病発見のきっかけになるケースは少なくありません。
口臭外来のあるクリニックから歯周病専門医に紹介されてくるケースもあります。
〇歯並び
歯周病がかなり進行すると、歯槽骨が吸収され、歯がぐらつくようになります。
このような不安定な状態で噛み続けていると、歯が動き、歯並びが悪くなっていきます。
きちんと噛めなくなりますし、容貌まで変わってしまうこともあるのです。
★簡単にわかる歯周病のポイント part1
2022年4月11日
〇歯肉の色
鏡を見ながら、そっと下唇をめくり返してみましょう。
このとき無理に唇をひっぱり過ぎないようにしてください。
唇の裏側の淡いピンク色と、歯肉の色を比べてみて、
歯肉の色が唇の裏側よりも一段薄ければ合格。
唇の裏側と同じくらい、やや濃い、濃淡があるという場合は要注意です。
同じように上側の歯肉も、上唇の裏側と比較してみましょう。
〇歯肉の腫れ
歯の間の歯肉が目立って赤い、歯を取り巻く歯肉に1ミリほどの幅の赤い縁どりがある場合は
初期の歯肉炎の疑いがあります。
進行すると赤い色が濃くなる、厚ぼったくなる、ぷくっとした丸みが出る、
歯肉が柔らかくたるむといった症状が現れます。
〇出血
ブラッシングのとき、歯と歯肉の境い目から血がにじんだり、
歯ブラシが赤く染まるのは、歯周病の兆候です。
りんごをかじると血が出る場合は、進行している可能性があります。
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
★歯周病かどうかセルフチェックしてみよう
2022年4月9日
歯周病の初期は外側から歯の状態を見ただけではわからないことが多く、
痛みなどの自覚症状も乏しいため、発見が遅れがちになります。
症状に気がついて受診したときには、すでにかなり進行していることも少なくありません。
早期発見の為に歯周病の症状を理解し、定期的にセルフチェックをする習慣をつけましょう。
チェックポイントを掲載しますので是非チェックしてみてください。
チェック項目にあげた症状のうち、歯肉の軽い腫れやむずがゆさ、
ブラッシング時の出血などは、初期から起こりやすい症状です。
進行するにつれて、口臭や口の中の粘つき、歯肉を押すと膿や血が出るといった症状が見られるようになります。
3つ以上の項目が当てはまる人は、予防、治療のために早めに歯科医院を受診しましょう。
セルフチェック項目
〇歯肉がときどき赤く腫れる
〇歯肉がむずむずしてかゆい
〇歯が浮いた感じがして腫れぼったい
〇冷たいものがしみる
〇歯を磨くと歯肉から出血する
〇下の前歯の裏側に歯石が付いている(ザラザラした感じがする)
〇朝起きた時口の中がネバネバする
〇歯肉を押すと血や膿が出る
〇口臭を指摘された・自分で臭いと感じる
〇サ行の音が発音しにくい
〇歯と歯の間に食べ物がはさまりやすい
〇歯を押すとぐらぐらする★
〇歯肉が下がり、歯が長くなった感じがする★
〇以前とは歯並びが変わったような気がする★
◇判定◇
0~2個→健康な歯、歯肉です
3~4個→歯周病の可能性あり
5個以上→歯周病の可能性がきわめて高いです
さらに・・・
★が付いている項目すべてが該当
→重症の歯周病である可能性が非常に高いので、すぐに治療を始めましょう
★歯周病の方の1割は急速に進行するタイプ
2022年4月8日
歯周病はゆっくりジワジワと進行していくことが多く、
歯肉炎から歯が失われるまでの期間は15~30年程度といわれています。
しかし喫煙や糖尿病にかかっているといったリスク因子があると、進行が早まります。
また、こうしたリスク因子に関係なく、歯周病の約1割は侵襲性歯周炎という
5~10年で急速に進行するタイプであることがわかっています。
侵襲性歯周炎には、若年性歯周炎という別名があり、その名の通り
10代と20代という若いころに発症し、そのままにしておくと歯がグラグラなって
40代ですべての歯を失ってしまったというケースも少なくありません。
侵襲性歯周炎でも、早い段階で発見し治療を開始すれば、進行を止めることができます。
ところが若い世代には歯周病という自覚がなく、歯肉が腫れる、
出血しているという症状が出ていても見過ごしてしまうことが多いのです。
また、一般の歯科医師もあまりこの病気の認識がなく、早期発見の機会を逃してしまうことがあります。
侵襲性歯周炎の人が家族にいる場合は、遺伝的な素因や生活習慣も似ているため、
発症する確率が高く、より注意することが必要です。
また、一般的な歯周治療では治らないことも多いので、
異常に気づいたらできるだけ早く歯周病専門医を受診してください。
★歯周病第4段階 重度の歯周炎 第5段階 終末期
2022年4月6日
第4段階になると、歯肉はさらに下がって、歯と歯のすき間も目立つようになります。
歯槽骨もだいぶ吸収されてなくなっているため、レントゲンでは歯が細く長く見えます。
歯肉からは膿や血が出て口臭は一層強くなり、歯はぐらつきます。
歯が不安定になるので、本来の位置から動いて歯並びが悪くなったり、
十分に噛めなかったり、発音がしづらくなることもあります。
ブラッシング、プラークや歯石の除去、手術などさまざまな方法を総動員して治療しますが、
歯を救えずに抜歯になり、入れ歯やインプラント治療が加わることも少なくありません。
第5段階は骨が溶け、土台を失った歯は抜け落ちます。
抜けた後は入れ歯やインプラントで補う治療をします。
歯周病の進行の様子
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯学周病会 より
★歯周病第3段階 中等度の歯周炎
2022年4月5日
炎症はかなり広がって、歯肉の色はピンク、赤、紫が混在した状態になります。
また歯肉は本来歯を覆っていた位置から下がり、歯の根元付近が徐々に露出してくるので、
歯が長くなったように見えます。歯肉の内側では歯を支える歯槽骨が溶け始め、
レントゲンで見ると高さが低くなっています。歯の違和感や揺れ、口の中の粘つき、
口臭などかなり症状も現れますが、まだ気づかない人もたくさんいます。
また、歯と歯のすき間が広がり、そこから息が漏れることによってサ行が発音しにくくなるなど
発音への影響も出始めます。
第3段階以降はプラーク除去などの治療だけでは改善されないことも多く、手術を行うこともあります。
★歯周病第2段階 軽度の歯周炎
2022年4月4日
歯肉の炎症は深いとことまで達し、歯周溝は仮性ポケットから
歯周ポケットといわれる状態に進行します。
歯肉はむずがゆかったり触るとぷよぷよしますが、
この段階では異変に気付かない人がほとんどです。
この状態でも第1段階と同じようにブラッシングと、プラークや歯石の除去など
適切なケアで回復が可能です。
★歯周病第1段階 歯肉炎
2022年4月2日
歯周病菌が歯と歯肉のすき間に侵入すると、歯肉は炎症を起こし、赤く腫れて出血します。
これは、異物である歯周病菌を追い出そうとする防御反応です。
同時に、健康な時は1~2ミリだった歯肉溝は、歯肉が腫れることによって、見かけ上、
歯と歯肉の境い目が深くなる「化性ポケット」と呼ばれる溝を形成します。
この「歯肉炎」の段階ならブラッシングや、
歯科医師によるプラークと歯石(プラークが固まって取りにくくなったもの)の除去など
適切なケアをすれば、歯肉の炎症はおさまり、化性ポケットをもとの浅い状態に戻すことができます。
★歯周病はこうして発症・進行する
2022年4月1日
私たちの口の中には、一般的に培養できるものだけでも400~500種類ほど、
培養できない細菌を入れれば700種類ともいわれるさまざまな細菌が棲みついています。
これらの細菌のうち、むし歯の原因菌は口の中に残った糖分などをエサに、
一方、歯周病菌はタンパク質やアミノ酸をエサにして、歯の周囲にプラーク(歯垢)と呼ばれる
白くネバネバした物質を作り出します。
歯の表面を爪でなぞってみると、爪には白っぽいいわゆる歯くそが付いてきます。
これがプラークです。ブラッシングを怠けてたり、磨き残しがあったりすると、
歯に付着したプラークの層はどんどん厚くなり、歯周病菌がくっつきやすくなってしまうのです。
プラークが取り付いた歯周病菌は心地よい住環境を求め、空気が届きにくい歯と歯肉間に向かって
移動を始めます。ここにはもともと歯肉溝といわれる1~2ミリのすき間があり、
歯周病菌はこの歯肉溝から奥へ奥へと潜り込んでいきます。