★ 口腔機能の問題が子供の将来に影響を与える
2024年05月10日
口腔機能は歯並びやかみ合わせに影響するあごの骨の形と密接な関係があるため、口腔機能の問題を放っておくと、それらに悪い影響を与えてしまう可能性があります。それは保護者の方からよくお聞きする、以下のようなお子さんのお口に関するお悩みとして現れます。
〇口呼吸のため、くちびる(口唇)を閉じて鼻呼吸をしながら噛めない(クチャクチャ食べ)
〇前歯の間から舌が前に出て(歯間音)、舌足らずな発音になる
〇帰宅時のガラガラうがいやブラッシング(歯磨き)の後のブクブクうがいがうまくできない。
〇錠剤が飲みにくい
特に近年、口呼吸が口腔機能だけでなく全身の健康状態に与える影響が注目されています。
口呼吸がどの程度から問題となりうるかの客観的なデータはまだ十分に得られてはいませんが、できるだけ鼻で息をするよう心掛けるのはいいことだと考えられます。
お子さまのお口の癖を放っておくと、以下のような悪い影響が考えられます。
お口だけでなく、体の健康にも影響します。
〇風邪の予防がしにくい
〇アレルギー性疾患が生じやすい
〇口臭が強くなりやすい
〇矯正治療の効果が得にくい
★覚えておこう!★
口腔機能の問題を放っておくと、歯列や咬合に悪影響を与えてしまう可能性があると述べましたが、歯列・顎骨の成長発育は口腔機能を善し悪しのみによって決まるのではありません。原因には「遺伝因子」と「環境因子」があります。
歯の大きさや顎骨形態は、生まれながらにもった「遺伝因子」に大きく左右されます。
口腔機能をいくら改善しても、遺伝因子は変えることができません。
一方、「環境因子」とは、成長発育の過程で受ける後天的な要素で、口腔機能の問題や、指しゃぶり、頬杖、睡眠態癖、栄養状態などがあげられます。口腔機能を改善することによって、環境因子により生じている歯列顎骨の成長発育の歪みを是正することが可能であると考えられます。
しかし、ここでもう一点機能と形態との関係で注意すべき点があります。
それは、「正しい機能は正しい形態とともにある」ということです。
遺伝要因によって生じた不正咬合の多くは、矯正装置を使用した歯科治療を行わなければ改善することができません。
本格的な矯正治療が行えない若年者(~8.9歳)の場合には、携帯をある程度までしか改善できないことがありますので、
その時期には機能もある程度までしか改善できません。
適切な矯正治療が行える年齢が来るまでは、口腔機能のアプローチも可能な範囲内で行うべきで、
焦って完璧を求めても、無理が生じてしまいます。
具体的な例としては、前歯部が前方に突出している状態のままで口唇を閉鎖することを強要しても、オトガイ金の過緊張が生じてしまい、かえって正しい口腔機能が得にくくなってしまいます。
したがって、矯正治療による形態治療と機能訓練は互いに連携を取って行うべきです。