★歯周病治療は多くの歯科医師がやっているが、内容には差がある
2023年5月23日
歯周病に対してはほとんどの歯科医師が何らかの処置をおこなうことができます。「うちでは歯周病の治療はできません」という歯科医師はまずいないでしょう。しかしながらその内容には差があるのが現状です。具体的なケースを挙げてみましょう。
ある男性患者さんは歯周病による歯肉の腫れがひどく、職場近くの歯科医院に飛び込みました。そこでは炎症のある部分を薬で消毒後、抗菌薬(抗生剤)を処方されて処置は終了。プラークや歯石の除去は十分におこなわれず、その後のメインテンスについてもなにも言われませんでした。男性はその後も歯肉が腫れるたびにその歯科医院に行き、同じ治療を受けましたが、あるとき。治療に疑問を感じ、歯周病を専門としている歯科医院を探して受診しました。その段階では歯周病はかなり進行しており、抜かなければならない歯も複数ありました。男性はとてもショックを受けていました…。
なぜこのようなことが起こってしまったのでしょうか。
歯周病治療の基本はプラークコントロールです。細菌の塊であるプラークはネバネバとしたバイオフィルムであり、抗菌薬だけでは死滅させることは不可能です。また、歯肉はスケーラーなどの道具を使い機械的に除去しなければ、残ったままです。
これを十分におこなわれないと、歯周病の進行を止めることができません。
また、進行した歯周病は見える部分のプラークコントロールだけでなく、「フラップ手術」で歯肉を開き、奥のたまった歯石を取り除く処置が必要です。こうした外科的治療は歯周病治療の研修施設で歯科医師が指導医からやり方を教わり、何年もかかって身に付けるものなのです。
★ かかりつけの歯科医がいる、と答える人は多いが・・・
2023年5月22日
日本歯科医師会が全国10~70代の男女1万人におこなった調査(「歯科診療に関する一般生活者意識調査」)によると、「かかりつけの歯科医がいる」と回答した人の割合は67%。歯科医師が身近な存在になったともいえる数値です。
一方で、「たまたま近くにあるから行っているだけ」という声も、結構聞きます。「かかりつけの歯科医がいる」といっても、実際に通うのは「痛くなったとき」や「腫れたとき」という人もいます。そして治療後のメインテナンスには全く通っていないという声も….。
このような人は本当の意味で、「かかりつけの歯科医がいる」とはいえないでしょう。
これを機に皆さんには、一生付き合っていけるいい歯科医師・衛生士をぜひ、見つけてほしいと思います。なぜならそのことが歯周病の再発を防ぎ、生涯歯を守うことに確実につながってくるからです。
信頼できる歯科医師は何年にもわたり、大事な歯を守ってくれます。
歯を失った人の中には、ちょくちょく歯科医院にはいっていたが、いつのまにか残っている歯が、少なくなってしまったというケースが結構あります。歯が悪くなってから受診する、ということを繰り返すと、歯や歯周組織が少しずつ失われていくためです。歯を守るために大事なのはいったん治療を終えた後の管理です。歯周病の場合、メインの治療が終わった後、再発予防の為に口の中をいい状態に維持するメインテナンスに通い続けることです。
メインテナンスこそが歯周病にとって最も大事な治療といっても過言ではありません。ところが多くの患者さんは歯周病の症状がおさまると、病気だったことを忘れ、次第に歯科医院から足が遠のいてしまいます。ところが、歯周病は進行してからでないと症状が現れない「サイレント・ディジーズ」なので、ここで通院をストップしてしまうのはとても危険です。
良医であればこうした状況も踏まえた上で、「なぜ痛みがないのに通う必要があるのか」「毎日、ブラッシングをしているのに、なぜ時間とお金をかけて清掃してもらわなければいけないのか」という疑問に対し、きちんと繰り返し説明してくれます。メインテナンスの時期が近くなるとハガキを送ってくれたり、電話やメールで来院をするように案内してくれることも当然です。良医がいる歯科医院には何年も通い続けている患者さんがたくさんおり、その多くはメインテナンスの為に通院しています。そして年齢にかかわらず、歯や歯肉を良好な状態に維持できています。歯周病の怖さは歯を失うことだけでなく、歯肉の慢性炎症により全身の病気の発症や悪化を引き起こすことです。歯周病のない健康な口腔を維持できている人は、健康寿命を延ばす可能性が高く、一生付き合えるいい歯科医師・歯科衛生士を見つけることで、あなたにもそれが可能となるのです。
★ 洗口液を使って化学的プラークコントロールを行う
2023年5月20日
殺菌成分を含む洗口液にはバイオフィルムが歯や歯肉に付着することを抑制する効果と歯肉炎予防効果が期待できます。ブラッシングと併用することでセルフ・ケアの効果を高めることができます。
セルフ・ケアに洗口液を加えることの効果については多くの研究報告があります。29件(対象者5000人以上)の報告を分析したところ、ブラッシングと歯間ブラシまたはデンタルフロスをおこなったグループでプラークの除去効果が有意に高かったという結果が得られています。殺菌成分を含む洗口液は歯面やプラーク(バイオフィルム)の表面に付着して作用するタイプ(イオン系抗菌剤)と、プラーク(バイオフィルム)の深部へ浸透して作用するタイプ(非イオン系抗菌剤)に分類できます。洗口のタイミングや回数は製品に記載されています。
ただし、繰り返しになりますが、洗口液だけではプラークは除去できません。一番大事なのは丁寧なブラッシングを中心とした機械的プラークコントロールで、洗口液はこれらの効果を引き出す補助的なものという位置づけです(洗口液で歯周病が治ることは有りません)。洗口液だけで済ませるということが無いようにしましょう。
【歯面やプラーク(バイオフィルム)表面に付着して作用する薬剤】
グルコン酸クロルヘキシジン(CHX)
塩化セチルピリジニウム(CPC)
塩化ベンゼトニウム
【プラーク(バイオフィルム)深部へ浸透して作用する薬剤】
ポビドンヨード
エッセンシャルオイル
全身の健康管理もセルフ・ケアの一環になります。
歯周病は➀口の中の細菌の攻撃力②患者自身の抵抗力③生活習慣(環境)が複雑に絡み合って発症、進行します。このうち②の患者自身の抵抗力については、免疫力の低下が悪化要因となるため、糖尿病のコントールなど持病の管理も大切になります。ストレスをためないとや栄養をしっかり取ることも大事なセルフ・ケアのの一つです。わからないことは歯科医師に相談しながら、上手に口の中の管理をしていきましょう。
★デンタルフロス、歯間ブラシの選び方&使い方
2023年5月19日
ブラッシングの後にはデンタルフロスを使う習慣をつけましょう。WHOの調査によればアメリカでは歯冠清掃具が74%と高い使用率であるのに対して、日本ではまだ39%と使っている人が少ないのです。しかし、これらの補助具によりブラッシングでは取り切れない、歯と歯の間のプラークを取り除くことができます。
歯周病ですでに歯肉が下がっていて歯間が大きい人やブリッジで人口の歯と自分の歯が隣り合っている場合は歯間ブラシが向いています。歯と歯の間のすき間が狭く歯間ブラシが通らない人にはデンタルフロスが推奨されます。
歯間ブラシやデンタルフロスに、歯冠のプラークがこびりついてくる様子を見ると、ブラッシングだけではプラークコントロールが不十分であることを実感できます。
【デンタルフロス】
歯と歯の間に糸を通して汚れを取りに除く道具です。歯間にいれやすいように糸にワックスをコーティングして滑りを良くしたものが主流ですが、コーティングをしていないアンワックスの方がプラークをしっかり取り除きます。
必要な長さにフロスを切り取り、指に巻きつけるロールタイプとホルダー(支えるための持ち手)にフロスが取り付けられているフロッサータイプがあります。
使い方ですが、ロールタイプは30~40センチを切り取り、親指の先をくっつけた長さで両中指に巻き付けます。
畑尾歯肉の境目よりも少し下、つまり、歯肉に少し隠れるまでそっとフロスを入れ、歯の側面をこするようにして上下に数回動かし、プラークを取ります。同じことを隣の歯でもおこなっていきます。
【歯間ブラシ】
歯間ブラシはつま楊枝のような細い針金(ゴム製もある)に清掃のための毛がついたブラシ状の道具です。歯と歯の間に入れてゆっくり動かしていくことで、汚れを除去します。さまざまな太さ(サイズ)のものがあり、自分の歯のすき間に合わせて選びましょう。柄はストレートタイプや曲田タイプなどがありますが、使いやすいものがいいでしょう。なお無理にブラシを挿入すると歯や歯肉を痛めることがあるので注意が必要です。
【歯間ブラシの正しい使い方について】
➀ブラシを直角に入れる
歯と歯の間にまず表面(頬側)から垂直方向に歯間ブラシを入れ、ゆっくり動かします。歯間ブラシの先端は歯肉から離して挿入してもかまいません。一度、手をゆるめて差し込んだ方向を確認し、ブラシを前後に動かしてプラークをかき出します。
②ブラシの角度を変える
慣れてきたら歯肉や歯面に合わせて手前から奥、裏側(舌側)から手前というように様々な角度から磨いていきましょう。使用後はよく水洗いをして乾燥させ、適宜、新しいブラシに変えていきましょう。

続 日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会
★定期的に鏡でブラッシングをチェックし、修正する
2023年5月17日
「ブラッシングは5分を目安に」といいました。
これは想像以上に長い時間です。自己流でブラッシングをすると長いと感じていても1分、中には30秒くらいで終わってしまう人も珍しくありません。これは磨けていない証拠です。ぜひ、慣れるまではタイマーを設定し、磨いてみてください。前回書いた内容で、丁寧に磨けば目安の時間通りに磨くことができます。
また、正しいブラッシングが身についた後も定期的に鏡でチェックし、くまなく磨けているかを確認してください。毎日、続けているうちに、少しずつ磨き方が雑になり、知らず知らずのうちに「磨けていない歯」が出てくるためです。
さらに、少々手間はかかりますが、「染め出し剤」で磨けていないところを確認することも大事です。染め出し剤には液剤やジェル剤、錠剤などがあり、プラークが残っていると歯に赤などの色が付きます。
「電動歯ブラシを使ってもいいの?」というお声を頂くことが多いのですが、結論から言うとブラッシングで電動歯ブラシを使用することにまったく問題はありません。正しく使用すれば手で磨いた場合と同様にプラークを取り除くことができるからです。
加齢や病気などでブラッシングが丁寧にできなくなってきた場合、また、買う語が必要になって場合などは電動歯ブラシや非常に有効です。
一方、時間に余裕がないという理由で、電動歯ブラシを使う若い人も増えてきています。
電動歯ブラシは大きく、「電動歯ブラシ(高速回転タイプ)」「音波歯ブラシ」「超音波歯ブラシ」の3つに分類されています。
「電動歯ブラシ(高速回転タイプ)」は1分間に3千~7千回という高速で左右反転する電動歯ブラシです。「音波歯ブラシ」は1分間に2万~4万回の振動により歯を磨きます。「超音波歯ブラシ」はさらに振動数の多い(1分間に120万回以上)超音波を利用した歯ブラシです。
現在主流となっているのは電動歯ブラシ(高速回転タイプ)と音波歯ブラシの2つです。ただし、それぞれ使い方のポイントが違います。
例えば電動歯ブラシ(高速回転タイプ)は手磨きのように歯ブラシを動かす必要はないものの、1本1本の歯を包み込むように磨くことでプラーク除去の効果が上がります。
こうしたテクニックはメーカーの仕様書や磨き方の動画だけで簡単にできるものではありません。いくら便利な電動歯ブラシでも、プラークを取り除くことができていなければ歯周病予防の効果を発揮できません。電動歯ブラシを購入する際はかかりつけの歯科医院に相談し、指導を受けてから使うようにしましょう。
★歯ブラシの正しい使い方
2023年5月16日
ブラッシングの正しいやり方について紹介していきましょう。まず、羽太氏は鉛筆を持つように軽く握ります。
そして、歯の表面と歯肉の境目に歯ブラシの毛先を差し込むように当てて、小刻みに往復運動(1か所20回)をしていきます。
歯の表側、裏側、かみ合わせ面(歯の溝)を磨いていきますが、一番大事なのはブラシの当て方です。
歯は前歯や犬歯、奥歯など、それぞれの歯によって大きさや形が違います。また、人によって歯が重なっていたり、親知らずなどがあり、磨き方を工夫しないと汚れが落ちません。特に歯周病の予防には、プラークのたまりやすい歯周ポケットの部分を丁寧に磨くことが大事になります。
ブラシの前面だけでなく、先端やかかと(柄に近い方)をうまく使って、磨き残しがないようにしましょう。なお、ブラッシングのテクニックについては、バス法やスクラビング法などさまざまなやり方が提唱されていますが、磨き残しに気を付けさえすれば、どの方法でもかまいません。イラストを参考に汚れの取りにくいところは特に注意しながらブラッシングしていきましょう。
【ブラッシングのポイント】
➀歯と歯肉の境目に45度の角度で毛先を当てる。歯周ポケットに毛先が入ることを意識して磨く(バス法)
②前歯の裏側は歯ブラシを縦にし、ハンドルを立てて持ち、前歯の裏側に毛先を当てて、細かく動かす。
③軽い力で細かく動かす。
④一か所につき、20回が目安
⑤一回のブラッシングは長い方がよく、目安は5分以上

続 日本新はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会
★ 高濃度フッ素入り歯磨き剤が向く人、向かない人
2023年5月15日
2017年、医薬部外品として、1500PPM ほどの高濃度フッ化物を配合した歯磨き剤が市販できるようになりました。この歯磨き剤は歯周病や子例の影響で起こりやすい「根面う蝕(歯根のむし歯)」の予防に向いています。根面う蝕は「大人のむし歯」とも呼ばれ、近年、増加傾向にあります。歯周病により、歯肉が下がると歯の根元(歯根部)が露出します。歯の上の部分(歯冠)は硬いエナメル質でおおわれていますが、歯根部は薄いセメント質なのでむし歯菌の出す酸によって溶けやすいのです。
一方、高濃度フッ素入り歯磨き剤を控えた方がいい人もいます。インプラント(チタン製)を入れている患者さんです。フッ素入りの歯磨き剤を使うとインプラントに腐食を生じる恐れがある、という研究報告があるためです。
また、特殊な顆粒がインプラント周囲の歯肉に入り、炎症を引き起こすことが報告されています。
★ 磨き残し対策に有効なワンタフトブラシと歯磨き剤の選び方
2023年5月13日
奥歯など歯ブラシでは届きにくい場所の磨き残し対策に有効なのが「ワンタフトブラシ」です。
スティックの先端に小さいブラシの毛束が一つだけついている構造で、小回りが利くのでかさなった歯や歯並びが悪く部分的に引っ込んでいるところもしっかり磨くことができます。通常の歯ブラシで磨いた後に使います。毛先の長さ、毛先の形などにより、さまざまな商品があるので、使いやすいものを選ぶといいでしょう。

続 日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会
歯ブラシだけで何もつけずに磨いた場合と、歯磨き剤を使った場合とでは後者の方がプラークの落ちがいいことが実験で証明されています。細菌は歯質の強化を狙ったフッ化物(フッ素)入り歯磨き剤、炎症を抑える薬剤が含まれた歯肉炎予防効果の期待できる歯磨き剤など、さまざまな種類が販売されています。製品の表示を参考に自分の好みに合ったものを選ぶといいでしょう。
ただし、市販の歯磨き剤は複数の薬剤が入っていることが多く、主な薬効成分の濃度は低めです。一方、歯科医院のみで販売されている専売品は一つの薬効に特化して作ってあるものが多く、成分の濃度は高く設定されています。歯周病予防を徹底したい場合は専売品がよいこともあります。この点は歯科医院で相談するといいでしょう。
薬効を期待する場合、歯磨き剤を多く使った方がより効果は得られやすいですが、たくさんつけすぎると唾液や歯磨き剤が口の中にたまり、長時間、磨き続けることができません。1グラム程度(ペースト歯磨き剤の場合はチューブから約0.5~1センチ)を目安にするといいでしょう。
また、長く磨けない場合はいったん、口の中のものを吐き出しから再度、磨くか、最初は歯磨き剤なしで磨き、その後に歯磨き剤をつけて磨く「二度磨き」もおすすめです。
★歯ブラシの選び方
2023年5月12日
正しいブラッシングはまず、歯ブラシ選びからです。
選ぶポイントは「歯肉を傷つけることのないもの」「プラークをしっかり落とせるもの」です。
具体的には次の5つのポイントを参考に選んでください。
*ナイロン毛である(獣毛ではない)
*植毛が密なもの(3列が目安)
*毛の硬さは普通かやわらかめ
*ヘッドは小さめ(小回りが利き、奥歯にも届きやすい)
*柄はストレート
患者さんから質問されることが多いのは
★セルフ・ケアの中心は毎日のブラッシング
2023年5月10日
最も大事なのは食べかすやプラークを機械的に取り除くブラッシングです。
近年は職場などで昼食後にブラッシングをする人も増え、日本人に歯磨きの習慣は定着しているといえます。にもかかわらず、歯周病になってしまう人が少なくないのはなぜでしょうか。
その要因として、次の可能性が考えられます。
➀磨いているのに、実際は磨けていない。
②ブラッシングの技術の差が大きい
③十分に時間をかけておこなっていない
④不適切な歯ブラシを使用している
特に➀~③については、ほとんどの人が当てはまると予想されますが、これはブラッシングの仕方が「自己流であること」が大きいでしょう。ブラッシングはたいてい親が子に教えるので、親のやり方を踏襲している場合が多いのです。つまり、大人が間違った方法でブラッシングをしていれば、それを見て覚えた子どもも間違った方法でブラッシングを身に付けてしまうことになります。まずは正しいブラッシング法を身に付けることから始めましょう。