★デンタルフロス、歯間ブラシの選び方&使い方
2023年5月19日
ブラッシングの後にはデンタルフロスを使う習慣をつけましょう。WHOの調査によればアメリカでは歯冠清掃具が74%と高い使用率であるのに対して、日本ではまだ39%と使っている人が少ないのです。しかし、これらの補助具によりブラッシングでは取り切れない、歯と歯の間のプラークを取り除くことができます。
歯周病ですでに歯肉が下がっていて歯間が大きい人やブリッジで人口の歯と自分の歯が隣り合っている場合は歯間ブラシが向いています。歯と歯の間のすき間が狭く歯間ブラシが通らない人にはデンタルフロスが推奨されます。
歯間ブラシやデンタルフロスに、歯冠のプラークがこびりついてくる様子を見ると、ブラッシングだけではプラークコントロールが不十分であることを実感できます。
【デンタルフロス】
歯と歯の間に糸を通して汚れを取りに除く道具です。歯間にいれやすいように糸にワックスをコーティングして滑りを良くしたものが主流ですが、コーティングをしていないアンワックスの方がプラークをしっかり取り除きます。
必要な長さにフロスを切り取り、指に巻きつけるロールタイプとホルダー(支えるための持ち手)にフロスが取り付けられているフロッサータイプがあります。
使い方ですが、ロールタイプは30~40センチを切り取り、親指の先をくっつけた長さで両中指に巻き付けます。
畑尾歯肉の境目よりも少し下、つまり、歯肉に少し隠れるまでそっとフロスを入れ、歯の側面をこするようにして上下に数回動かし、プラークを取ります。同じことを隣の歯でもおこなっていきます。
【歯間ブラシ】
歯間ブラシはつま楊枝のような細い針金(ゴム製もある)に清掃のための毛がついたブラシ状の道具です。歯と歯の間に入れてゆっくり動かしていくことで、汚れを除去します。さまざまな太さ(サイズ)のものがあり、自分の歯のすき間に合わせて選びましょう。柄はストレートタイプや曲田タイプなどがありますが、使いやすいものがいいでしょう。なお無理にブラシを挿入すると歯や歯肉を痛めることがあるので注意が必要です。
【歯間ブラシの正しい使い方について】
➀ブラシを直角に入れる
歯と歯の間にまず表面(頬側)から垂直方向に歯間ブラシを入れ、ゆっくり動かします。歯間ブラシの先端は歯肉から離して挿入してもかまいません。一度、手をゆるめて差し込んだ方向を確認し、ブラシを前後に動かしてプラークをかき出します。
②ブラシの角度を変える
慣れてきたら歯肉や歯面に合わせて手前から奥、裏側(舌側)から手前というように様々な角度から磨いていきましょう。使用後はよく水洗いをして乾燥させ、適宜、新しいブラシに変えていきましょう。
続 日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会
★定期的に鏡でブラッシングをチェックし、修正する
2023年5月17日
「ブラッシングは5分を目安に」といいました。
これは想像以上に長い時間です。自己流でブラッシングをすると長いと感じていても1分、中には30秒くらいで終わってしまう人も珍しくありません。これは磨けていない証拠です。ぜひ、慣れるまではタイマーを設定し、磨いてみてください。前回書いた内容で、丁寧に磨けば目安の時間通りに磨くことができます。
また、正しいブラッシングが身についた後も定期的に鏡でチェックし、くまなく磨けているかを確認してください。毎日、続けているうちに、少しずつ磨き方が雑になり、知らず知らずのうちに「磨けていない歯」が出てくるためです。
さらに、少々手間はかかりますが、「染め出し剤」で磨けていないところを確認することも大事です。染め出し剤には液剤やジェル剤、錠剤などがあり、プラークが残っていると歯に赤などの色が付きます。
「電動歯ブラシを使ってもいいの?」というお声を頂くことが多いのですが、結論から言うとブラッシングで電動歯ブラシを使用することにまったく問題はありません。正しく使用すれば手で磨いた場合と同様にプラークを取り除くことができるからです。
加齢や病気などでブラッシングが丁寧にできなくなってきた場合、また、買う語が必要になって場合などは電動歯ブラシや非常に有効です。
一方、時間に余裕がないという理由で、電動歯ブラシを使う若い人も増えてきています。
電動歯ブラシは大きく、「電動歯ブラシ(高速回転タイプ)」「音波歯ブラシ」「超音波歯ブラシ」の3つに分類されています。
「電動歯ブラシ(高速回転タイプ)」は1分間に3千~7千回という高速で左右反転する電動歯ブラシです。「音波歯ブラシ」は1分間に2万~4万回の振動により歯を磨きます。「超音波歯ブラシ」はさらに振動数の多い(1分間に120万回以上)超音波を利用した歯ブラシです。
現在主流となっているのは電動歯ブラシ(高速回転タイプ)と音波歯ブラシの2つです。ただし、それぞれ使い方のポイントが違います。
例えば電動歯ブラシ(高速回転タイプ)は手磨きのように歯ブラシを動かす必要はないものの、1本1本の歯を包み込むように磨くことでプラーク除去の効果が上がります。
こうしたテクニックはメーカーの仕様書や磨き方の動画だけで簡単にできるものではありません。いくら便利な電動歯ブラシでも、プラークを取り除くことができていなければ歯周病予防の効果を発揮できません。電動歯ブラシを購入する際はかかりつけの歯科医院に相談し、指導を受けてから使うようにしましょう。
★歯ブラシの正しい使い方
2023年5月16日
ブラッシングの正しいやり方について紹介していきましょう。まず、羽太氏は鉛筆を持つように軽く握ります。
そして、歯の表面と歯肉の境目に歯ブラシの毛先を差し込むように当てて、小刻みに往復運動(1か所20回)をしていきます。
歯の表側、裏側、かみ合わせ面(歯の溝)を磨いていきますが、一番大事なのはブラシの当て方です。
歯は前歯や犬歯、奥歯など、それぞれの歯によって大きさや形が違います。また、人によって歯が重なっていたり、親知らずなどがあり、磨き方を工夫しないと汚れが落ちません。特に歯周病の予防には、プラークのたまりやすい歯周ポケットの部分を丁寧に磨くことが大事になります。
ブラシの前面だけでなく、先端やかかと(柄に近い方)をうまく使って、磨き残しがないようにしましょう。なお、ブラッシングのテクニックについては、バス法やスクラビング法などさまざまなやり方が提唱されていますが、磨き残しに気を付けさえすれば、どの方法でもかまいません。イラストを参考に汚れの取りにくいところは特に注意しながらブラッシングしていきましょう。
【ブラッシングのポイント】
➀歯と歯肉の境目に45度の角度で毛先を当てる。歯周ポケットに毛先が入ることを意識して磨く(バス法)
②前歯の裏側は歯ブラシを縦にし、ハンドルを立てて持ち、前歯の裏側に毛先を当てて、細かく動かす。
③軽い力で細かく動かす。
④一か所につき、20回が目安
⑤一回のブラッシングは長い方がよく、目安は5分以上
続 日本新はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会
★ 高濃度フッ素入り歯磨き剤が向く人、向かない人
2023年5月15日
2017年、医薬部外品として、1500PPM ほどの高濃度フッ化物を配合した歯磨き剤が市販できるようになりました。この歯磨き剤は歯周病や子例の影響で起こりやすい「根面う蝕(歯根のむし歯)」の予防に向いています。根面う蝕は「大人のむし歯」とも呼ばれ、近年、増加傾向にあります。歯周病により、歯肉が下がると歯の根元(歯根部)が露出します。歯の上の部分(歯冠)は硬いエナメル質でおおわれていますが、歯根部は薄いセメント質なのでむし歯菌の出す酸によって溶けやすいのです。
一方、高濃度フッ素入り歯磨き剤を控えた方がいい人もいます。インプラント(チタン製)を入れている患者さんです。フッ素入りの歯磨き剤を使うとインプラントに腐食を生じる恐れがある、という研究報告があるためです。
また、特殊な顆粒がインプラント周囲の歯肉に入り、炎症を引き起こすことが報告されています。
★ 磨き残し対策に有効なワンタフトブラシと歯磨き剤の選び方
2023年5月13日
奥歯など歯ブラシでは届きにくい場所の磨き残し対策に有効なのが「ワンタフトブラシ」です。
スティックの先端に小さいブラシの毛束が一つだけついている構造で、小回りが利くのでかさなった歯や歯並びが悪く部分的に引っ込んでいるところもしっかり磨くことができます。通常の歯ブラシで磨いた後に使います。毛先の長さ、毛先の形などにより、さまざまな商品があるので、使いやすいものを選ぶといいでしょう。
続 日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会
歯ブラシだけで何もつけずに磨いた場合と、歯磨き剤を使った場合とでは後者の方がプラークの落ちがいいことが実験で証明されています。細菌は歯質の強化を狙ったフッ化物(フッ素)入り歯磨き剤、炎症を抑える薬剤が含まれた歯肉炎予防効果の期待できる歯磨き剤など、さまざまな種類が販売されています。製品の表示を参考に自分の好みに合ったものを選ぶといいでしょう。
ただし、市販の歯磨き剤は複数の薬剤が入っていることが多く、主な薬効成分の濃度は低めです。一方、歯科医院のみで販売されている専売品は一つの薬効に特化して作ってあるものが多く、成分の濃度は高く設定されています。歯周病予防を徹底したい場合は専売品がよいこともあります。この点は歯科医院で相談するといいでしょう。
薬効を期待する場合、歯磨き剤を多く使った方がより効果は得られやすいですが、たくさんつけすぎると唾液や歯磨き剤が口の中にたまり、長時間、磨き続けることができません。1グラム程度(ペースト歯磨き剤の場合はチューブから約0.5~1センチ)を目安にするといいでしょう。
また、長く磨けない場合はいったん、口の中のものを吐き出しから再度、磨くか、最初は歯磨き剤なしで磨き、その後に歯磨き剤をつけて磨く「二度磨き」もおすすめです。
★歯ブラシの選び方
2023年5月12日
正しいブラッシングはまず、歯ブラシ選びからです。
選ぶポイントは「歯肉を傷つけることのないもの」「プラークをしっかり落とせるもの」です。
具体的には次の5つのポイントを参考に選んでください。
*ナイロン毛である(獣毛ではない)
*植毛が密なもの(3列が目安)
*毛の硬さは普通かやわらかめ
*ヘッドは小さめ(小回りが利き、奥歯にも届きやすい)
*柄はストレート
患者さんから質問されることが多いのは
★セルフ・ケアの中心は毎日のブラッシング
2023年5月10日
最も大事なのは食べかすやプラークを機械的に取り除くブラッシングです。
近年は職場などで昼食後にブラッシングをする人も増え、日本人に歯磨きの習慣は定着しているといえます。にもかかわらず、歯周病になってしまう人が少なくないのはなぜでしょうか。
その要因として、次の可能性が考えられます。
➀磨いているのに、実際は磨けていない。
②ブラッシングの技術の差が大きい
③十分に時間をかけておこなっていない
④不適切な歯ブラシを使用している
特に➀~③については、ほとんどの人が当てはまると予想されますが、これはブラッシングの仕方が「自己流であること」が大きいでしょう。ブラッシングはたいてい親が子に教えるので、親のやり方を踏襲している場合が多いのです。つまり、大人が間違った方法でブラッシングをしていれば、それを見て覚えた子どもも間違った方法でブラッシングを身に付けてしまうことになります。まずは正しいブラッシング法を身に付けることから始めましょう。
★ 「歯周病菌が棲めない、歯周病菌を減らす」という意識をもってブラッシングしましょう
2023年5月9日
セルフ・ケアは食べかすや歯の汚れをきれいにするだけでなく、「口の中の細菌を取り除く・という意識をもって取り組むことが大事です。
歯周病には生活習慣病であると同時に、歯周病菌が引き起こす細菌感染症という二つの側面があります。プラークの蓄積と歯肉組織の反応は、食生活の乱れや喫煙などの生活習慣が深くかかわっていますが、それだけで歯周病にはなりません。プラークを形成する歯周病菌によって発症するのです。つまり、どんなに鏡に映った歯が白くきれいに見えていても、目に見えない歯周病菌がたくさん残っていたら、セルフ・ケアとしては、不十分です。
ブラッシングを丁寧にやることはもちろん、目に見えない歯と歯の間のプラークを補助的清掃用具で清掃することを勧めるのもこのためです。洗口液を推奨するのはブラッシング後、口の中に残っている細菌を減らす効果が期待できるからです。
セルフ・ケアの取り組み方について紹介します。
「セルフケアに自信がない」「これまでがんばってブラッシングをしていたけれど、効果があまりなかった」という人はこれを機に。正しく効果的なセルフ・ケアを知り、取り組んでほしいと思います。
なおブラッシングの方法をはじめ、セルフケアのテクニック、補助具などの選び方、使い方などについては、かかりつけの歯科医院の指導を受けながら取り組むことをお勧めします。
★ インプラント周囲炎になってしまったらどうするか
2023年4月28日
インプラントを入れている部分に出血や腫れなどの異常を感じたら、できるだけ早く受診しましょう。インプラント周囲粘膜炎の段階であればプラークコントロールにより、よくなることがあるのです。かみ合わせの不具合などが、ごの炎症の引き金になっている場合はかみ合わせの調整をおこないます。また、インプラントの周囲に健康な角化歯肉を移植し、インプラント周囲の歯肉の防御機構を高める方法も一部の歯科医院では行われています。インプラント周囲炎医進行している場合は外科的治療も検討します。炎症の起こっている歯肉を取り除いたり、歯肉を切開して本来歯肉や歯槽骨に埋まっているインプラントを露出させて、その表面を戦場・殺菌や研磨したりする治療で、再生療法で骨を増やす治療などもあります。このようにインプラント周囲炎の治療は年々、進歩しており、その結果、インプラントの抜かなければならないケースは減ってきています。
一方で、こうした治療がどの歯科医院でもおこなわれているわけではありません。中には科学的根拠が十分でない治療法もあります。また、インプラント周囲炎の治療はインプラント治療と同様に自由診療になるので、どのような処置を受けるか慎重に決めるようにしてください。
★ こんな人がインプラント周囲炎になりやすい
2023年4月27日
インプラント周囲炎になりやすい人も明らかになっています。まずは歯周病があること。歯周病をきちんと治さずにインプラント治療を行うと、歯周病菌がインプラントにも感染する可能性が高いためです。また、インプラント治療後にセルフ・ケアやメインテンスを怠ると、インプラント周囲の細菌が増えるために、やはり、インプラント周囲炎が発症しやすくなります。喫煙もリスクと考えられています。
このほか。糖尿病やアルコール摂取、遺伝的要因などが影響する可能性も指摘されています。
また、口の中の問題としては、隣り合った歯の状態、かみ合わせやブラキシズム(歯ぎしり)などの問題で。インプラントにかかる過度な負担もインプラント周囲炎のリスクとなりえます。
インプラント周囲炎にならないためにはインプラント治療の前に歯周病の治療をきちんと行うこと、インプラント治療後は天然歯の部分と同じく。インプラントを入れた部分のセルフ・ケアを丁寧にし、プラークコントロールを維持することが大事です。セルフ・ケアの方法については主治医や歯科衛生士がやり方呂教えてくれます。また、メインテナンスは主治医に支持された通りに受けましょう。インプラントの部分だけでなく、天然歯についても歯周病が悪化していないかをX線検査などと併せて確認し、異常があれば早期に対処してもらうようにしましょう。なお、こうした背景から、インプラントを入れる場合は歯周病に詳しく、メインテナンスをきちんとしてくれる歯科医師を選ぶことをおすすめします。