★一生モノのいい歯科医師とは・・・
2022年11月14日
〇歯科医師選びにはほとんどの人が苦労している
歯科医院に通院している患者さんの中には、
これまで5件、10件と歯科医師を変えてきた人がたくさんいます。
むしろ最初に受診した歯科医師が自分にピタリと合い、
気に入ってずっと通い続けているほうが稀なのではないでしょうか。
歯科医師を変更した理由はさまざまですが、中でも多いのは、
治療に納得できないというケース。
初診の段階でここで治療を続けるのは不安、合わないと感じることもあれば、
治療が進む中で納得がいかないことが出てくる場合もあります。
※歯周病の知識が乏しい歯科医師を受診してしまった患者さんの悲劇
歯周病の場合、残念ながらあまり歯周病の知識がない歯科医師が間違った治療や指導をして、
かえって悪化させてしまったというケースがあるのは事実です。
A子さんは、4カ月にわたり歯科医院に通っていたにもかかわらず、
歯周病が進行して4本の歯がグラグラに。
おかしいと思い、歯周病専門医の資格を持つ歯科医院を受診しました。
すると前に通院していた歯科医師がおこなっていた歯周病の治療は歯の表面の汚れを落としていただけ。
歯石はまったくとれていなくて、専門医から見たら、とても歯周病の治療とはいえないものだったのです。
A子さんの場合、なんとか残せそうな歯は再生治療をして、
どうしても救えない歯は抜くことになりました。
歯を失うのは誰にとってもショックです。
患者さんにしてみれば、せっかく通っていたのになぜと悔しかったことでしょう。
一方50代の男性はよその歯科医院で、歯周病がどうにもならないくらい悪化しているから、
すぐ抜歯してインプラントを入れるしかないと言われたと、
セカンドオピニオンを求めて駆け込んできました。
抜歯が避けられないケースもあり、抜かない歯科医師=いい歯科医師ではないのですが、
良医であれば高額なインプラントありきの抜歯ではなく、
他の選択肢も含めきちんと説明してくれるはずです。
実際、歯周病専門医が診察してみると、歯の揺れはあるもののまだ抜歯する段階ではなく、
手術で歯肉の奥についた歯石を除去することで十分回復が見込めました。
結局、患者さんは歯周病専門医のいる歯科医院へ転院することになり、
治療に時間はかかったものの、抜歯することなくいい状態を保っています。
一度失った自分の歯はもう戻らないので、しっかりと話を聞き判断しましょう。
★ブラッシングを続けるコツとは・・・
2022年11月12日
歯周病の予防や治療ではていねいなブラッシングを毎日続けることは不可欠ですが、
短時間ブラッシングで済ませていた人や、そもそも磨いていなかったという人にとっては、
10分間もブラッシングするのはかなり高いハードルです。
また疲れて帰ってきたときや、酔っぱらっているときは、そのまま寝てしまう方もいるでしょう。
そこでブラッシングを続けるコツをいくつかご紹介します。
すべての人にあてはまるものではありませんが、ぜひ活用してください。
・長く磨くのが苦痛な人は、お風呂に浸かりながら、テレビを見ながらのながら磨きをする
・時計の役割をするブラッシングタイムの音楽を用意し、ブラッシング時間の目安にする
音楽を聞いてるとき間はブラッシングに専念する
・お気に入りの歯ブラシやコップを用意してモチベーションを上げる
・好きなタレントが笑って白い歯が見えている写真を洗面所に貼っておく
・スマホで毎日歯の写真を撮り、比較して効果を確認する
・歯周病になってがたがたになった歯の写真を貼っておく
・スマホの歯磨き用アプリを利用する
・疲れていてどうしてもブラッシングしたくないときは、せめてブクブクうがいをする
・歯ブラシのすぐ横に染め出し剤や鏡を常備しておく
磨き残しチェックのためのグッズは、目につきやすい場所に置いておくのがコツ。
歯磨きをしている間、手は忙しく動かしていますが、目の行き場はなく暇な状態です。
そんなときにグッズが視界に入ればつい使いたくなるものです。
鏡は拡大鏡や歯科医院で使われているような柄付きの小さなミラーを用意してもいいでしょう。
★ブラッシング実践編②
2022年11月9日
〇デンタルフロスの正しい使い方
デンタルフロスは
1日1回、ブラッシングのあと使用するとよいでしょう。
★準備:フロスを指に巻く
フロスを30~40センチ取り、親指の先をくっつけた長さで両中指にフロスを巻き付けます。
基本のデンタルフロスの動かし方
➀歯肉の境い目よりちょっと下、つまり歯肉に少しかくれるまでそっとフロスを入れて動かします。
②フロスで歯の側面をこするようにして、上下に数回動かします。
同じことを隣の歯の側面でもおこないプラークをとります。
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会
〇しっかり磨けているか、染め出し剤でチェック
磨き残しをチェックするのに便利なのが、染め出し剤です。
液剤やジェル剤、錠剤などがあり、最もポピュラーな液剤の場合、
綿棒にしみこませて歯に塗り、水ですすぐと、歯に付着しているプラークをはっきり確認できます。
染め出された場所は、磨き残している場所ですから、
何度か染め出してみていつも同じ場所が赤く染まるようであれば、
ふだんの磨き方を改善する必要があります。
赤く染まった場所を意識して磨くことにより、確実に磨き残しをなくすブラッシング法を取得できます。
さらに、ブラッシングの後にもう一度確認染めをして、磨く前に染まっていたところが染まらなければ
プラークはきれいに落とせたことになります。ブラッシングの成果が目に見えてわかることで、
ブラッシングに対するやる気がでるというメリットもあります。
自分でチェックする目を養うのは大事なこと。
歯科医院のブラッシング指導でも染め出しはおこなわれますが、
染め出し剤は、歯科医院やドラックストア、通信販売などで手に入れることができるので、
自宅でもやってみてください。
★ブラッシング実践編
2022年11月8日
〇歯ブラシの正しい使い方
プラークを落とすには、歯の表面と歯肉に歯ブラシの毛先を正しく当てて、
小刻みに往復運動をしていきます。
また、歯ブラシの先端側や、持ち手側の角の毛束をうまく使って、
すみずみまで磨きましょう。自己流でもきちんと全体が磨けていればいいのです。
ポイント
➀歯と歯肉の境い目に45度の角度で当て、歯周ポケットに毛先が入ることを意識する
②軽い力で細かく動かす
③一か所につき20回が目安
※前歯の裏側を磨くには、歯ブラシを縦にするのがコツ。
歯ブラシのハンドルを立てて持ち、前歯の裏側に歯ブラシの毛先を当てて、
細かく動かします。
〇歯間ブラシの正しい使い方
➀基本(ブラシを直角に入れる)
歯と歯の間に、まず表面(頬側)から直角に歯間ブラシを入れます。
そのとき、歯間ブラシの先端は歯肉から離して挿入してもよいです。
一度手をゆるめ差し込んだ方向を確認し、ブラシを前後に動かしてプラークをかき出します。
②局面に合わせてブラシの角度を変える
次に挿入した歯間ブラシの角度を変えて、奥から手前に斜めに向けてブラシを入れ、
前後に動かします。ブラシの毛先をきちんと歯の表面に当てて動かしていないと、
プラークを取り残す原因になります。
③反対の角度からも挿入し、同様に磨く
歯間ブラシの角度を変えて、手前から奥に斜めにブラシを入れるようにして、
同様に磨きます。おわったら、今度は裏側(舌側からも)ブラシを挿入していきます。
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
★ブラッシング道具紹介②
2022年11月5日
③歯間ブラシとデンタルフロス
歯間ブラシはつま楊枝のような細い針金に清掃のための毛が付いたブラシ状の道具で、
歯と歯のすき間に差し込んで使います。
さまざまな太さのものが市販されていて、細すぎるとプラークがとれず、
太すぎると歯や歯肉を傷めたりする恐れがあります。
すき間の大きさに合わせたものを選んでください。
サイズがわからないときは、歯科医師に相談しましょう。
デンタルフロスは、歯と歯の間に入れやすいように糸にワックスをコーティングして
滑りを良くしたものが主流です。
ワックスをコーティングしてないものはノンワックス、アンワックスと呼ばれ、
滑りが良くないぶん歯の間に入れにくいのですが、このタイプのほうがプラークをしっかり除去できます。
また、形状も、長いものを適当な長さにカットして使用する糸まきタイプもあれば、
持ち手がついたフロッサータイプもあります。
歯間ブラシとデンタルフロス、両方使う必要はなく、
歯間ブラシが歯と歯のすき間に無理なく通って動かせるのであれば、
歯間ブラシを使うと良いでしょう。
とくに歯周病で歯肉が下がると歯と歯のすき間が広くなりますから、
すでに歯肉が下がってしまっている人はデンタルフロスよりも、歯間ブラシが適しています。
歯と歯のすき間が狭く、歯間ブラシが通らない人には、デンタルフロスをお勧めします。
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
④歯磨き剤
歯磨き剤には歯周病を予防する成分などが含まれているため、
患者さんから歯磨き剤の量を多くした方がいいんですかと質問されることがあります。
テレビコマーシャルで歯ブラシいっぱいにしぼりだしているのを見て、
その通りにやっている患者さんもいます。
しかし実際には歯磨き剤の量を多くすると、口の中が泡でいっぱいになって、
細かいところがしっかり磨けません。
さらになんとなくすっきりするので、短時間でも磨けたつもりになってしまいがちです。
歯磨き剤の量は、チューブから5ミリほどで十分です。
あるいは、歯磨き剤をつけずにていねいに磨き、そのあと歯磨き剤を少量つけて仕上げる
二度磨きもおすすめです。
こうすれば、しっかり磨けて、歯磨き剤の清涼感も得られます。
★ブラッシング道具紹介➀
2022年11月4日
➀歯ブラシ
歯ブラシを選ぶときに重要なのは、歯肉を傷つけることのないもの、
歯垢をしっかり落とせるもの。具体的に次の5つをポイントに選んでください。
〇ナイロン毛
〇植毛が密なもの(3列が目安)
〇毛の硬さはふつうか、やわらかめ
〇ヘッドは小さめ(小回りが利き、歯肉にも届きやすい)
〇柄はストレート
患者さんから質問されることが多いのは、
毛のやわらかさはどのくらいがいいですかということ。
やわらかすぎるものは歯や歯肉に当たると毛が寝てしまって、
プラークを落とすことができません。
逆に毛が硬すぎるのものや毛先がとがっているものは、歯肉を傷つけてしまいます。
大手生活用品メーカーが販売している一般的な歯ブラシの中から、
まず普通と表示されている商品を選び、使ってみて痛いと感じたら、
それよりもやわらかめのものに変えてください。
自分にどれが合うのかわからないという人は、歯科医院でブラッシング指導を受ける際に、
歯科医師や歯科衛生士に選んでもらいましょう。
歯科医院で歯ブラシを購入することもできます。
★歯ブラシのポイント
日本人はこうして歯を失っていく
日本歯周病学会・日本臨床歯周病学会 より
②ワンタフトブラシ
奥歯など歯ブラシでは届きにくい場所の磨き残し対策に便利なのが、ワンタフトブラシです。
ワンタフトブラシは、スティックの先端に小さなブラシの毛束が1つだけ付いている構造で、
小回りが利くので奥まった歯や歯並びが悪くて引っ込んでいる部分もしっかり磨くことができます。
★ブラッシングの道具選び
2022年11月2日
〇基本は歯ブラシ、さらに歯間ブラシなどの補助具で磨き残しを減らす
道具の基本は歯ブラシです。道具が増えると一つひとつがおろそかになりがちです。
ましてやこれまで歯ブラシですらきっちりブラッシングができない人は、
まず歯ブラシを使いこなせるようにしていきましょう。
次に必要なのが、歯ブラシでは取りづらい歯と歯の間のプラークをとる補助的な清掃機具です。
すでに歯周病が進行して歯肉が下がってしまった人には、歯間ブラシが効果的です。
一方、子どもや歯肉が下がっていない健康な人は歯間ブラシを使うと歯肉を下げてしまうので、
デンタルフロスが適しています。
また、デンタルフロスの使用は、歯周病になっていない人にとって予防になりますから、
子どもの頃から使い方に慣れておくことが大事です。
奥歯など奥まった磨きにくい場所は、ワンタフトブラシが有効です。
これらは歯周治療には必須の器具なので、まだ使ってない人は是非使ってみてください。
最近は電動ブラシを使う方も増えて、便利な道具ですが、コツも必要です。
★ブラッシングの目的・基礎
2022年10月29日
〇ブラッシングの目的
ブラッシングの最大の目的は、うがいでは取り除けないプラークを取り除くこと。
歯科医師は、歯肉をマッサージするつもりで歯ブラシを当ててくださいと指導することがありますが、
これは、マッサージが主な目的というわけではなく、歯と歯肉の両方に歯ブラシを当てるイメージを
もってもらいたいからです。
ただしプラークを取り除こうとして磨き過ぎると、歯肉を傷つけてしまうので、コツが必要です。
〇ブラッシング基礎編
頻度:最低1日1回はていねいに。
日本人は一般的にどのようなブラッシングをしているのでしょうか。
10~60代の全国の男女1200人に調査をしたところ、ブラッシングの頻度は、
76%の人が1日に2回以上、1回あたりの歯を磨く平均時間は1~3分でした。
患者さんからブラッシングは毎食後にした方がよいのかと聞かれる時があります。
毎食後ブラッシングができれば理想的ですが、1日3回短時間でサッとやるよりも、
1日1回でいいからしっかり時間をかけて磨いた方が歯周病には効果的です。
それに日中仕事をしている場合は、朝と夜は磨けたとしても、昼食後のブラッシングは難しいものです。
無理をすると続きませんから、時間に余裕がある夜寝る前などに、お風呂に浸かりながらでもいいので、
ていねいにブラッシングするようにしてください。
では、ていねいなブラッシングとは、どのようなブラッシングでしょうか。
実はこの「ていねい」のイメージは人によってかなり違いがあります。
たとえば、3分間のブラッシングをていねいすぎると感じる人がいる一方で、
3分では短すぎて全然磨けていないという人もいます。
わかりやすいように時間で示すなら、最低10分が目安。
長いと感じるかもしれませんが、一般に歯は全部で28本ですから、1本あたり20秒ほど。
1本1本ていねいに磨くには、この程度の時間は必要です。
ただし、歯ブラシが磨くべきところにきちんと当たっていなければ、
10分磨こうと、20分磨こうと意味がありません。
正しく磨くことが大事です。
★ブラッシングをマスターする
2022年10月26日
〇きちんと磨けていない人が多い
歯周病で受診する患者さんの中には、ほとんど歯を磨いたことがなくて、
歯周病にになったのは当然の結果という人がいます。
その一方で、毎日歯を磨いていたのに・・・と、歯周病になったことが納得できない人もいます。
しかし、きちんと歯を磨いていると主張する患者さんの状態を染め出し剤でチェックしてみると、
真っ赤になるケースがほとんどです。
これはきちんとプラークが落ちていない証拠、つまり磨き方が間違っているのです。
ブラッシングはたいてい親が子に教えるので、親のやり方を踏襲している場合が多いのです。
つまり、大人が間違った方法でブラッシングをしていれば、
それを見て覚えた子どもも間違ったブラッシング方法を身に付けてしまうことになります。
結果、家族みんなで間違ったブラッシングをしている危険があるわけです。
★歯周病は歯科医師だけでは治せない!
2022年10月25日
〇セルフケアはブラッシングと全身の健康管理の2本柱
歯科医院に通うとセルフケアも大事ですと言われることが少なくありません。
歯周病のセルフケアというのはまず局所のケア、すなわち毎日のブラッシングです。
さらに歯周病は全身の健康にかかわる感染症ですから、
維持のコントロールや生活習慣の改善といった全身の健康管理も不可欠です。
患者さんの中には歯科医院に通っていれば歯周病は治るだろうと考えている人がいます。
しかし、同じ進行度の患者さんが同じタイミングで歯科医院に通いはじめても、
セルフケアを努力している患者さんと歯科医師任せで何もしない患者さんでは、
治り方も、通院回数も、治療にかかる費用も、将来歯がどうなっていくかもまったく違ってきます。
〇手のひらサイズの炎症を放置できますか?
中等度の歯周病になっている患者さんの場合、歯周ポケット周辺の炎症の総面積は、
手のひらくらいの大きさといわれています。
もし、顔に手のひらサイズの炎症があれば、普通は放っておかないはず。
見た目はもちろんのこと、放置して化膿すれば大変なことになりますから、治療をするでしょう。
ところが歯周病は、歯肉の中の見えにくい部分で炎症が起きているために多くの人が無頓着。
放置している間に歯を支える骨が溶けていくだけではなく、全身に感染が広がっていきます。
〇化粧品やサプリにお金をかける前に、歯のケアを
高齢化が進み、アクティブシニアが増えている今は、アンチエイジングがブーム。
いくつになっても若く美しく健康でありたいと、外見や体力、脳の老化防止などに関心が集まり、
ジムに人があふれ、高額な化粧品やサプリメントが売れています。
ところが意外と歯に気を使う人は少なく、外見は若々しいのに口の中はボロボロで、
歯が抜けかかってから歯科医院を受診してくるケースが後を絶ちません。
歯をいい状態に保つことは、外見だけでなく、食べ物をしっかり噛んで滑舌よく話すといった機能面、
そして全身の健康を維持するという面からも、究極のアンチエイジングといえます。
セルフケアを習慣にしましょう。