★ フッ化物で歯を強く?
2023年7月3日
以前の「フッ化物を摂取して歯を強く」という考えの根底には、エナメル質の主成分であるハイドロキシアパタイトにフッ化物を作用させ、フルオロアパタイトに変化させることでう蝕を防ぐという狙いがありました。
フルオロアパタイトは、ハイドロキシアパタイトよりもう蝕になりにくいのでしょうか?
Ogaardのいくつかの研究結果を組み合わせると、面白いことが分かります。
〇ヒトの歯(ハイドロキシアパタイト)
〇サメの歯(フルオロアパタイト)
〇ヒトの歯+フッ化物洗口
を人の口の中で四週間かけて意図的にう蝕にした後、病変の深さとミネラルの喪失量を調べました。すると、最も脱灰が少なかったのは、フルオロアパタイトを主成分とするサメの歯ではなく、ヒトの歯+フッ化物洗口でした。つまり、う蝕の抑制に効果的なのは、フルオロアパタイトそのものではなく、脱灰部にフッ化物が存在していることなのです。
その理由は、再石灰化を促進し、脱灰を抑制するフッ化物の働きにあります。