石田歯科
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★ う蝕の削る治療と削らない治療

2023年6月9日

「削らない治療」がう蝕治療の基盤になると、「削る治療」はどのような時に行うべきでしょうか?う蝕病変を削って修復する理由をカリオロジーの視点から考えてみましょう。

細菌叢の生体に変化が生じ、う蝕のプロセスが進行している活動性の病変は、清掃用具や唾液が届かない状態のままだと、非活動性にすることはできません。病変の拡大を防ぐため、削ってコンポジットレジンなどの材料で修復し(削る治療)、清掃できるようにする必要があります。

一方、活動性のう蝕病変であっても、清掃用具や唾液が到達し、う蝕の原因への対応がなされれば非活動性へと移行するため、削らない治療のみで対応できます。

う蝕の初期治療に行う再評価で、Nyvadnoディシジョンツリーに示されているように、削る・削らないの判断を行います。判断の根拠となるのは、カリエスコントロールの可否です。

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著 伊藤直人

★ う蝕とう窩は何が違うの?

2023年6月3日

現在のう蝕の病に基づいた治療の話をする前に、う蝕とう窩の違いについて考えてみましょう。

歯面とバイオフィルムの境界では、飲食に伴って1日に何度もpHが大きく変化します。臨界pHを下回れば歯質からミネラルが失われ(脱灰)、pHが回復すれば溶け出たミネラルが歯面に戻ります。(再石灰化)

脱灰と再石灰化を繰り返す中で、そのバランスが崩れて脱灰の時間が多くなるとう蝕が進行していきます。つまり、う蝕とは脱灰と再石灰化の間を絶えず行き来する動的なプロセスといえるでしょう。

一方、う窩は、う蝕というプロセスが進行し、歯質の構造が壊れた結果生じる実質的な欠損状態と言います。

う窩にいくら修復治療を行っても、う蝕を治療したことにはなりません。原因に対処しなければ、またう蝕になってしまうでしょう。う蝕に対しては、そのプロセスをコントロールする「削らない治療」をまず行うことが必要で、それこそが現在のう蝕治療の基盤です。

 

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著 伊藤直人

 

現在のう蝕治療は、う蝕のプロセスをコントロールする「削らない治療」を基盤としています。実際の臨床での進め方をみていきましょう。う蝕治療も、歯周治療と同様の流れで進めていきます。まず初期審査(口腔内検査、問診)を行い、現病歴や治療の履歴と併せてう蝕の原因やリスクを診断します。う蝕の部位や罹患時期により原因は異なります。

それを基に、初期治療として削らない治療を行います。削らない治療では、患者さんにう蝕の原因を伝え、う蝕のコントロールに必要な知識を提供し、行動変容を促します。初期治療を経ることではじめて、う窩を削る・削らないの適切な診断が行えるようになります。

再診査、再評価御に、必要に応じて修正療法(削る治療)を行います。う蝕においても、治療後は再発を予防するためのメインテナンスとう蝕サポート治療(SCT:supportive caries therapy)が重要です。カリエスコントロールは、歯がある限り生涯にわたって行う必要があります。

 

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著 伊藤直人

★ う蝕は感染症?

2023年6月2日

現在、う蝕の病院論はMarshが提唱した「生態学的プラーク説」が支持されています。う蝕はMS菌など特定の細菌の感染によって起こるのではなく、口腔内常在菌の‘‘生体の変化‘‘によっておこるとすると考えで、以下の4つのステップで説明されます。

 

➀頻回な糖の摂取により、バイオフィルム中のさまざまな細菌が糖を代謝して頻回に酸を産生します。その酸により、細菌にストレスがかかることで細菌の酸産生と耐酸性が増します。

 

②バイオフィルム中のpHが酸性に傾き‘‘環境の変化‘‘が起こります。

 

③バイオフィルム中が酸性になると酸に弱い細菌は生き残れなくなり、MS菌、乳酸菌、ビフィズス菌など酸性環境で生き残れる細菌が優勢になります。すなわち‘‘生体の変化‘‘が起こります。

 

④酸性の環境で生き残った細菌がさらに酸を産生し、歯面の脱灰が進んでう蝕が進行していきます。

頻回の等の摂取や唾液の減少はう蝕リスクを高め、口腔清掃やフッ化物の使用はリスクを低下させます。

 

 

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著 伊藤直人

 

 

生体学的プラーク説の概念をより細かく説明したものが、高橋とNyvadの「拡大版 生態学的う蝕病因説」です。

以下の3つのステップで説明され、象牙う蝕にはタンパク質分解ステージが追加されます。

 

➀動的安定ステージ

バイオフィルムの中でさまざまな細菌が糖を代謝し、酸を産生します。当接種の回数が少なく酸性になる頻度が少ない状態では、唾液または細菌の産生するアルカリによって酸は中和され、脱灰と再石灰の平衡状態が保たれます。

 

②酸産生ステージ

細菌は酸性環境下でも生き残れるよう、さまざまな防御機能を働かせて適応します(酸適応)。

その際、細胞内の酸を細胞外に排出する機能を強化することで、酸産生能が高まります。その結果、脱灰が再石灰化を上回り、エナメル質のミネラルが喪失して初期う蝕病巣が生じます。

 

③耐酸性ステージ

酸性環境が続くとバイオフィルム中のpHはさらに低くなり、耐酸性能が高く、厳しい酸性環境でも生き残れるMS菌やLacto-bacillusは、さらに酸を産生することでう蝕を促進させます。

 

 

 

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