石田歯科
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★ 酸蝕はフッ化物で防げる?

2023年9月6日

酸蝕は、う蝕のようにフッ化物でふせぐことができないのでしょうか?

フッ化物の働きには、

➀再石灰化の促進

②脱灰の抑制

③結晶性の改善

④細菌の代謝阻害  があります。

 

酸蝕症には細菌が関わらない為、④は効果がありません。

➀~③については、フッ化物の存在下でハイドロキシアパタイトの臨界pHが4.5になり(エナメル質の臨界pHは5.5)、再石灰化が促進されることから、フッ化物がエナメル質の耐酸性を強化することが期待できます。

ところが、酸蝕症をおこすような飲食物の中には、pH4.5を大きく下回る酸蝕能の高いものがあります。そのような酸性に飲食物が歯面に直接流れ込むと、フッ化物による再石灰化が間に合わず、エナメル質はどんどん溶けてしまいます。

つまり、酸蝕歯バイオフィルムのない状態でう蝕の酸よりも強い酸により引き起こされるため、フッ化物で防ぐことがう蝕以上に難しく、原因の改善が必要となります。

★ 酸蝕歯の歯磨き

2023年9月5日

酸蝕症で脱灰が進んだ歯は、歯磨きによる摩耗が懸念されます。唾液による再石灰化の効果を期待するには、どのくらい時間を空けてから歯磨きを行えばよいのでしょうか?

 

ヒトのエナメル質をクエン酸で3分間脱灰した後に口腔内に装着し、時間をおいてから歯磨きを行って、摩耗量を計測した研究があります。時間を置くほど摩耗量は減少し、脱灰から歯磨きまで60分間あけると、摩耗量は有意に少なくなりました。

別の研究でも、1日2回、エナメル質を炭酸飲料(スプライト)に90秒間浸してから歯磨きをしたところ、30分、60分と時間が空くほど摩耗量は有意に少なくなりました。それでは、歯磨きをしていない歯よりはかなり摩耗してしまうことが分かります。酸蝕歯に対しては、唾液による再石灰化を期待して歯磨きを制限するよりも、やはり原因の改善を第一に行うべきです。

★ ヨーグルトは酸性なのになぜ歯が溶けないのか?

2023年9月2日

濃い塩水には塩がなかなか溶けないように、カルシウムとリン酸を多く含む液体には歯が溶けやすくなります。

エナメル質の臨界pHは5.5ですが、これはエナメル質に付着したバイオフィルム中のカルシウムイオンとリン酸イオンを平均的な濃度として計算した場合に、pH5.5になるとエナメル質が溶ける.という数値です。

そのためカルシウムとリン酸を多く含む液体中では、pH値だけ見れば酸蝕症の原因となりそうですが、カルシウムとリン酸が豊富なため臨界pHは3.9となり、エナメル質は溶けだしません。

しかし、たいていの産生飲料は臨界pHが高く、酸蝕症をおこす原因となりえます。炭酸飲料の中にはpH2.5で臨界pH6.5というものもあり、そのような飲料を飲み続けると酸蝕症が急速に進む恐れがあるので注意が必要です。

★ 酸の種類によって異なる酸蝕能

2023年8月30日

pHは酸蝕症の目安にはなりますが、酸の種類によって酸蝕を起こす能力(酸蝕能)が異なるため、その点も気を付ける必要があります。

酸蝕能は、酸に由来する水素イオンが歯のハイドロキシアパタイト(リン酸カルシウム)からリン酸を奪う作用と、酸の陰イオンが歯質からカルシウムイオンを奪うキレート作用の2つを合わせた力です。飲食物に含まれる酸を、水素イオンを出す力が強い順に並べてみましょう。pKa(解離定数)という数値で表され、数値が小さいほど水素イオンを出す力が強く、1下がると能力は10倍になります。

 

リン酸とクエン酸は強いキレート作用ももつため、酸蝕能の高い酸です。特にクエン酸はジュース、清涼飲料水、スポーツドリンク、お酒、果物、梅干し、あめなど多くの飲食物に含まれているため、習慣的な摂取には注意が必要です。成分表示には酸味料と記載されていることもあります。

一方、ただの炭酸水やビールはpHが4付近にもかかわらず、酸蝕能の低い炭酸しか含んでいないため酸蝕を起こさないとされています。

★ コーラを歯に漬けると、、、?

2023年8月29日

カリエスブック 著 伊藤直人

 

上の写真は、コーラに歯をつけて経時的に撮影したものです。

コーラに含まれる酸で歯が溶け、小さくなっているのが分かります。

酸蝕症の原因で多いのは飲食物に含まれる酸ですが、飲み物の場合は、患者さんが習慣的に摂取していて歯に悪いと自覚していことが多いものです。

 

清涼飲料水、スポーツドリンク、ジュース、お酢、栄養ドリンク、酒類など酸性の飲料は私たちの身近にあふれていて、それらにはクエン酸、リン酸、酢酸や乳酸などが含まれています。

 

酸性の飲料を飲むとすぐに、歯面のpHはエナメル質が脱灰し始める臨界pHを下回ります。

通常、酸性の飲料は酸味があるため唾液がたくさん出て、唾液が届く部位では6分程度でpHが中性に戻ります。(の見方や唾液の量によりpH緩衝能には個人差があります)

唾液の緩衝作用が及びにくい前歯部や修復物の直下などでは、酸による影響を長く受け続けます。

ちびちび飲みも同様です。また、糖が含まれている飲料では、二次的にpHが下がり続けるので、より注意が必要です。

★ 酸蝕症の原因

2023年8月28日

酸蝕症もう蝕と同様、さまざまな因子が相互に影響しあいながら、時間をかけて進行していきます。

それを表しているのがLussiの図です。

外側の円は酸蝕のプロセス全体に影響する因子で、内側は口腔内における因子を表します。口腔内における因子には、唾液や飲食の習慣、口腔衛生など患者に関わる因子、pHや緩衝作用、酸の強さなどの飲食物に関わる因子があります。

 

患者さん自身は酸蝕症の原因に気づいていないことが多いため、症状や口腔内所見から原因を把握し、食生活や歯磨きなどに関する適切な知識を伝える必要があります。う蝕と同様、歯面の修復処置だけで治療を終わらせるのではなく、原因を改善することが重要です。

 

 

カリエスブック 著 伊藤直人

★ 酸蝕症ってなに?

2023年8月26日

歯が溶ける疾患はう蝕だけではありません。飲食物、薬剤、胃液などに含まれる酸が直接、歯面に触れることによって歯が溶けてしまうことがあります。それを酸蝕症と言います。

 

う蝕の部位では、バイオフィルム中の細菌が産生する酸によりpHが4近くまで下がりますが、酸蝕症を引き起こす酸はより強い酸性を示します。酸蝕症の有病率は約30%と非常に高く、日常臨床で見逃さないよう注意が必要です。

 

酸蝕症では、酸に触れる部位がダメージを受けるため、歯の咬合面や切縁が欠ける、歯頚部が削れてくるといった臨床像が見られるほか、知覚過敏を主訴として患者さんが受診されることもあります。歯面は滑沢でつやがあり、バイオフィルムの付着は見られません。酸蝕症は、バイオフィルムやペリクルの残る部位には起こりにくく、唾液が減少すると加速度的に進行します。

 

酸蝕症の患者さんには上記のような特徴的な所見が多くみられるため、視診と問診が非常に重要です。

★ 糖のまとめ

2023年8月25日

 

〇う蝕に関わる細菌は、砂糖(スクロース)だけでなく、他の糖も代謝して酸を産生することができる

 

〇多糖類のでんぷんも、加熱調理することにより細菌が代謝できる物質に変化するため、う蝕の原因になりうる

 

〇牛乳や母乳はpHが中性に近いため(乳に含まれるたんぱく質、カルシウム、リン酸の保護作用による)、う蝕のリスクは低い

 

〇う蝕リスクの低い食べ物、飲み物を知っておく

 

〇う蝕リスクを高めるのは、糖の摂取量よりも摂取回数、少量を頻回に、摂取するより、量は多くても回数が少ない方が良い

 

〇頻回に飲食すると、脱灰している時間が長くなるため、一日の飲食は4回までに

 

〇食後に数回うがいをしても、pHは中性に戻らない。

 

〇糖アルコールはう蝕にならない

 

〇キシリトールガムは、咀嚼による歯根膜への刺激と甘い味で唾液がでることにより、間接的にカリエスコントロールに働く

★ キシリトールはなぜう蝕予防になるの?

2023年8月23日

代用甘味料の中で最も一般的に知られているキシリトールは、ガムの原材料としてよく使われていますが、どのような効果があるでしょうか?

まず、キシリトールのう蝕予防効果を報告した研究の多くは、バイアスが大きくエビデンスの質が低いということを知っておく必要があります。

キシリトールは、細菌が代謝しても酸が作られない上に、甘くて唾液が出るため、唾液の緩衝能でpHが回復する効果があります。細菌に直接働きかけて酸産生を抑制するわけではありません。つまり、キシリトールガムを食べると、歯根膜と味覚への刺激により唾液が出て、唾液の緩衝能により間接的にう蝕をコントロールできるのです。

これは、他の糖アルコールを使用したガムでも同様です。マルチトールやソルビトールなどの糖アルコールからは、細菌の代謝により臨界pHを下回らない程度のわずかな酸が産生されますが、すぐさま唾液が中和するためう蝕にはつながりません。

★ 甘いものを食べてもすぐうがいしたら大丈夫?

2023年8月19日

「甘いものを食べても、ブクブクうがいをすればむし歯は大丈夫でしょ?」という患者さんがよくいます。

ジュースを飲んでも、飴をなめても、すぐにうがいをすればう蝕にならないのでしょうか?

うがいによる口腔内のpH変化を調べた研究があります。口腔内のバイオフィルムを成熟させ、3%スクロース溶液で洗口してpHを下げてから、水で10秒間の洗口を10~60秒ごとに繰り返しました。その結果、pHが中性に戻るまでに、平均で15回も洗口しなければなりませんでした。

 

甘いものを口にするたびに10秒間のブクブクうがいを15回も行うのはあまり現実的ではないので、他の方法で口腔内のpHをコントロールする必要があります。

 

カリオロジーの研究では、無味のパラフィンガム(咬合採得するときに使うパラフィンワックスのようなもの)を噛んで、唾液を出すことでバイオフィルム中のpHを中性に戻しています。代用甘味料を使ったガムも、同様の効果があります。

得に、就寝時は唾液分泌量が低下するので、就寝前に飲食した時にはうがいではなく必ず歯を磨きましょう。

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