★ 複合う蝕
2023年09月13日
スポーツドリンクやフルーツジュースなど、酸と糖の両方が含まれる飲食物をたびたび摂取すると、酸蝕症だけでなくう蝕のリスクも高まります。
酸と糖の両方が関わる病態を複合う蝕と呼び、より注意が必要と考えています。複合う蝕の一番の特徴は、プラークの付着が少ない割に進行が速いということです。歯質の切削時には、X線像から想定されるよりも深くまでう蝕が進んでいることが多いと感じます。酸の影響を強く受けるので、通常のう蝕とは異なる部位にも見られます。
う蝕の進行が速い理由は、2つ考えられます。
1つは、飲食物などの酸によってバイオフィルム内が酸性環境となることで、う蝕を進行させる細菌の割合が増加(マイクロバイアルシフト)したところに糖が加わるため。
2つめは、最近の産生する酸だけではく、飲食物に含まれる酸でも脱灰が進むため、さらに、象牙質う蝕が進行する過程において、コラーゲンの分解よりもハイドロキシアパタイトの脱灰の方が著しく進行することにより、コラーゲンが分解されることで働く歯髄応答が少ないことも考えられます。
複合う蝕の対応で最も需要なのは、原因の改善-すなわち酸と糖の両方を含む飲食物の摂取を制限することです。植生かとの問診を注意深く行ってもらって、患者さんの口腔内の状況と関連付けて説明を行います。日常的に摂取してるものを変更する、あるいはたまにとる程度に控えて頂くだけで、問題が解決することも稀ではありません。